厳しい風雨に抗わず、眺望と花の磐梯山は次回のお楽しみ 


磐梯山 1819m 2014年7月26日(土)〜27日(日)

これも思い出に残る山行となるだろう。山頂からの大眺望と季節のお花桧原湖畔畑を楽しみに会津の百名山を目指したが、折からの悪天候はやむなし。自然の猛威に抗うことなく、登山口での記念撮影後、撤退した。

ホテル直行の高速バスで東京―会津を往復。登山口へもホテルの送迎バスをフル利用。まさにドア・ツー・ドアを絵に描いたような優雅な山行計画に誘われてか、総勢18人が集まってのみちのく行となった。東京駅近くの鍛冶橋駐車場に、集合時間に先立つこと15分前着いてみてびっくり。ほとんどのメンバーがすでに到着しているではないか。

東京から300キロ。夏休みの土曜日とあって高速道は渋滞の連続かと思いきや、さほどではない。途中、隅田川花火見物の場所取りの様子を眺めつつ一路北上した。2回のサービスエリア休憩を取って、午後2時半前、宿泊予定の星野リゾート裏磐梯ホテルの車寄せに横づけとなった。深々とお辞儀するスタッフのお出迎えを受け、我々のザックも丁重に運び込まれるというこれまでにないVIP待遇でチェックインした。手続き後、すぐに予定していた檜原湖の散策に出かけることにした。明日の山行に備えて、また夕食のビールを美味しくいただけるよう、自然豊かな桧原湖畔の周遊しようとの計画だ。

湖畔では、夏休みの林間学校の小中学生が教師や保護者に付き添われてあちこちで水遊びやボート乗り、そして夜のキャンプの準備に追われていた。代わるばんこに水面に張り出したブランコに乗り、そのまま湖へ勢いよくザブーンと落ちる。うらやましくなる夏の湖畔ならではの遊びだ。見上げると正面には、明日登る予定の磐梯山の北側の斜面が見える。126年前の明治21年、水蒸気爆発で山の半分が吹き飛び、山体崩壊を引き起こし、山の北側、つまり裏磐梯の景観は崩れ落ちた崖がむき出しとなり荒涼としている。ちなみに地図では磐梯山の山頂は5合目とある。そのワケは、山の半分が吹き飛んだということからだ。居合わせた地元の保護者の説明では、その時にせき止められて出来たこの檜原湖の水中には墓も集落の家並みも何もかも沈んでいるという。そんな説明を聞きつつ、マイナスイオンたっぷりの湖畔歩きを存分に楽しむ。

湖畔の探勝路を歩くことしばし、吊り橋も渡って、もうそろそろ、今日の湖畔歩きのゴール中瀬沼に到着かと思ったが、どうも行程時間を甘くみたせいか、なかなか着かない。後ろを歩く一行からは、「随分歩いたけど、まだ歩くのかな?」「早く帰って、お風呂に入りたいわね」という声が少しずつ聞こえ始めてくる。そう、そろそろ引き返す時間だが、ここまで来たら進むしかない。というか、中瀬沼を通らないと、帰りのショートカットの車道にも出ないのだ。

そんなこんなで、ようやく中瀬沼の展望台に到着した。しっとりと落ち着いた湖沼の景色は、まさに一見の価値あり、絵葉書の世界そのものだ。記念写真を1枚撮り、先を急ぐことにする。ほどなくして車道に出て、ホテルへの帰り道を急ぐ。ここから先も結構な距離があり五色沼のひとつ毘沙門沼にて、ホテル着は結局午後5時過ぎ。ゆっくり2時間散策する予定がハードに3時間近く歩かせてしまったようだ。「あー、早くお風呂に入ってビールを飲みたい」「散策なんて、とんでもないハードなコースだった」。そうですね。皆さんの思い、よくわかります。でも、これが後々、「昨日たくさん歩いておいてよかったわね」と一変するのだから、先々の展開はわかりません。

ホテルに戻って、すぐに大浴場に飛び込む。おまちかねの夕食は和食、洋食何でもありのバイキング形式だ。お寿司や天麩羅、喜多方ラーメンなどなど。デザートも豊富だ。さらに、このバイキングにプラスして飲み放題コースをつけた。これまでの山行前夜の夕食としては考えられない豪華で、あきれた夕食となった。

翌日。朝5時ごろは、少し雲があり、ちょっと下り坂かなと思う程度の空模様だったのが、ホテルのバスで登山口に向かう7時半には雨がかなり降り始めた。空も厚い黒雲に覆われ、四方の山の上半分は雨をはらんだガスで覆われてしまっている。張り出した前線の影響で、午前中の天候の回復は難しそうだ。ともかく雨具を着用しバスに乗り込み、登山口まで向かう。ところが、途中、また思わぬハプニング。狭い山道の坂の途中で、前方から来る車をやり過ごして、さあ出ようとしたところ、エンジンがかからない。どうやってもかからない。そうこうするうちに、運転手がホテルと電話連絡して、代替バスを手配し始めた。どうも敵は悪天候ばかりではなかったようだ。厳しい風雨で山行実施が危ぶまれているところ、時間もどんどん経過し、予定通りの行程もタイトになってくる。

雨も強まってくる車内で、みな外の降雨を心配げに見ている。車内には我々18人と全く関係ない部外者の若い男性が一人。皆さんの表情を読み取りつつ、バスの後ろ半分に陣取る浪漫会のメンバーに聞いてみる。「雨はご覧の通りです。これから来る予定の代替のバスに乗り換えてとりあえず登山口まで行きますが、この雨と風では予定通りの行動は難しい。山行を取りやめて引き返すことも考えたい。ちなみに挙手でもいいですし、目配せでもOK。皆さん、いかがですか」と言い終わるやいなや、ほとんどのメンバーが次から次へと手を挙げる。まるで、「撤退」の言葉を待っていたかのようだ。

代替のバスに乗り換えて登山口へ着くと、雨は強い。会津若松市の中学校の林間学校行事で数人の保護者が数人、待機している。聞けば、生徒を乗せたバスがこれから上がってくるのを待ち受けているとのことたが、この雨で今日の山登りは取りやめて帰るのだそうだ。また、登り始めたものの風雨が強く、戻ってきた人もいた。我々も雨の中、とりあえず1枚の集合写真を撮影して、すぐにバスに戻った。車内では、「昨日、たくさん歩いていて良かったわね」との会話も交わされている。

ホテルに戻るころになると、しゃくなことに雨足が弱まっている。急遽、五色沼散策を計画し、歩き始めることにする。途中、再び雨が強まり、やはり不安定な大気の気象状態をみせたが、お昼前には全員、ホテルに舞い戻った。ホテルの対応は終始親切で、午後1時まで部屋を自由に使用して下さいとのこと。おかげでホテルの温泉にゆったりと入り直したりして、午後2時半出発の帰京のバスまで思い思いに過ごすことができた。(G)


コース記録

【26日(土)】

9:00=(直行バス磐梯高原号:途中サービスエリア休憩2回)=14:20裏磐梯ホテル(檜原湖周辺散策)(宿泊:星野リゾート  裏磐梯ホテル)

【27日(日)】

6:30朝食 ホテル7:35出発=8:30八方台登山口8:40⇒⇒9:10ホテル⇒⇒五色沼散策⇒⇒ホテル14:30(磐梯高原号乗車)==帰京 19:30東京駅八重洲口

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