後立山連峰南部縦走の山旅を楽しむ

針ノ木岳 2821m 2017年9月8日(金)〜10日(日)

 北アルプス後立山連峰の最南端に位置する山々を扇沢を起点にして時蓮華岳計回りに縦走した。ルート上には蓮華岳(2799m)=写真右下=、針ノ木岳(2821m)、スバリ岳(2752m)、赤沢岳(2678m)、鳴沢岳(2641m)、岩小屋沢岳(2630m)があり、起伏の激しい稜線歩きが連続する。黒部湖をはさんで西側に立山連峰や剱岳を望みながらの豪快な天空の旅をたっぷりと堪能した。尚、天候の関係で当初計画を1日後ろへずらして実施したことが、今回の山旅をさらに素晴らしいものにしてくれた。

 1日目(9月8日):朝一番の北陸新幹線「かがやき501号」で7時38分に長野駅に降り立った一行6名は認知症啓発のパンフレット攻勢を受けた。睡眠不足の影響だろうか? 高速バスで長野駅を出発した時は小雨が降っていたが途中から時折り青空が覗くようになり、信濃大町を過ぎ大町アルペンラインを走るころには空には雲一つない快晴となった。

本日の行程は扇沢から針ノ木雪渓を登り針ノ木峠に立つ針ノ木小屋までの標高差1,100mほどの登りだ。途中にある大沢小屋は既に閉まっておりスルー、しばらく進むと雪渓が左手に見えてくるかなり小さい。登山道はすでに夏の巻き道コースとなっていて、岩場やクサリが時折り現れ結構あせ(冷や汗)を掻かされる。

 何回か沢を渡渉し、最後の水場でお薬用の冷たい水をたっぷり補給して峠を目指す。赤茶色にザレた九十九折りの最後の急登がやけに堪えた。扇沢から登り始めて4時間40分で針ノ木小屋に到着。今日最後に到着したようで、部屋は1階で我々6名のみ。夜は寒くて、隣りのスペースより毛布を借用するメンバーも。星は残念ながら満月のため今ひとつであった。

 2日目(9月9日):小屋の東側に蓮華岳があるためご来光は拝めなかったが、正面に槍ヶ岳や奥穂高から前穂高岳にかけての吊り尾根が遠望できた。今日は厳しい下降蓮華岳を始め5つの山を縦走して新越山荘まで天空の尾根歩きだ。まずはザックを小屋にデポして、空身に近い恰好で蓮華岳を往復だ。次々に現れる偽ピークを一つ一つ制覇して、1時間ほどで山頂に立つことができた。

 360度の大パノラマだ。北には遠く北信の山並み、白馬〜五竜岳〜鹿島槍〜爺ヶ岳、そしてこれから縦走する針ノ木岳〜スバリ岳〜赤沢岳〜鳴沢岳の山々、その後方に立山連山・剱岳の勇姿。南側には槍ヶ岳・穂高連峰を中心に右側に水晶岳や赤牛岳、左側に大天井や餓鬼岳など。東側には遠く浅間山が確認できる。いつまでも眺めていたいがそうもいかない。

小屋に戻りザックを背負い針ノ木岳を目指して出発。いきなりの急登で一気に汗が噴き出る。登りつめること1時間で山頂に立てた。南側に高瀬ダムの後方に槍ヶ岳、西側には懐かしの五色ヶ原から薬師岳の稜線が望めた。立山や剱岳の雄姿は少しずつ角度を変えて終日励ましてくれた。

次はスバリ岳に向かう。ガレ場の急下降を慎重に進み、登り返したスバリ岳の山頂で昼食にする。次の赤沢岳は遠かった。大きく下った後、小さなアップダウンの繰り返しで体力を奪われ、最後に急登が待っていた。今日初めて予定時間をオーバーした。次の鳴沢岳で大休憩の後、新越山荘に向けて最後の下りを開始。今日一番の難所の連続だ。受付を済ませ早々にビールを飲みながら長かった1日を振り返った。幸い土曜日だったがそれ程混んではいなかった。

 3日目(9月10日):蓮華岳〜針ノ木岳の山並みをバックに写真を撮ったのち、沢を越え岩小屋沢岳の登りにかかる。快晴だか少し風が強い。肌寒い為ややペースが早かったようだ。爺ヶ岳・鹿島槍・五竜岳の山並みが少しずつ大きくなってくる。アップダウンを繰り返しながら進むと、赤い屋根の小屋が見えてきた。種池山荘だ。後方には爺が岳の南峰が大きく聳えている。

種池山荘で今回の山行で登った山々を眺める。充分な休憩を取ったのち、延々と続く柏原新道を下って、扇沢のターミナルまで戻る。信濃大町までのバス待ちが1時間近くあったので、タクシーを利用して入浴と昼食をゆっくり楽しんだ。大糸線で松本駅まで行き、16:58発新宿行きと17:18発千葉行きに分かれて乗車するため、ここで解散することにした。

好天気と展望に恵まれた3日間の山行は予想以上の困難な登山道が続いたが、中年オヤジ6名にとって記憶に残る天空の山旅となったようだ。(S.S)

<参加者のひと言>

今回の縦走路は体力的に今まで登った中でも、最も厳しい山行だったと思います。それでも天候に恵まれたお蔭で楽しい山登りが出来ました。

(S)

三日間天候に恵まれ180度の大パノラマを満喫させて頂き大満足の山旅でした。リーダーのSさん、負傷にもめげず最後までお役目お疲れ様でした。

又、二泊とも山小屋の食事が美味しいのにはちょっと驚きました。健脚揃いの同伴者の皆さんまたご一緒楽しみにしています。」
(K)

「今回の針ノ木岳山行は初めから前途多難を思わせた。扇沢行きのバスに乗るため長野駅を出た、中年親父6は熱心なおばちゃんの配る痴呆症予防キャンペーンのティッシュを全員ポケットに入れ出発したのだ。

雲海針ノ木雪渓はもうあまり雪がなく、核心部は岩場を高巻く所もあり、かえって大変だった。最後のジグザグの登りは永遠に続くのではないかと思われた。針ノ木小屋は一階のトイレに近い寒い部屋だった。
すでに霜が降りたそうで私など、名ばかりのユニクロのペラペラダウンを着て、湿った布団を掛けて寝たがあまりの寒さに何度も目が覚めた。しかしトイレに近いはありがたかった。

翌日は素晴らしい天気で朝の身の引き締まる空気の中、空身で蓮華岳をピストンし
た。所々に駒草が残るガラガラの広い尾根は下りを快調に飛ばすと駒草を踏みそうになる。そうすると、いつも愉快な話ばかりで、時には人を煙に巻く。或る親父の叱責が飛ぶ。ほんとうは山を心から愛する人なんだ。

針ノ木、スバり、赤沢の稜線歩きは岩場の上り下りの連続で強敵でした。 しかし眼
下に黒部ダム、向こうに大好きな剣、立山が見え、今、山にいることに感謝。しんどいでしたが思い出に残る最高の山行でした。下田リーダー、有難うございまし
た。」
(T.K)

一日ずれての出発でしたが、天気に恵まれて最高の思い出となる山行でした。

一日目、雪渓歩きが出来ず少し残念。針ノ木小屋泊。夜中星空が見たく外に出るが満月で見れず。

二日目、蓮華岳から宿泊先の新越山荘まで五山を歩きそれぞれの山頂からの眺めは、遠くに槍ヶ岳、立山、剣岳 眼下に黒部ダムと、何とも言えない眺めに感動。流石に登り下りで膝に痛みを感じ明日の下りが心配。槍ヶ岳よりもきつかった。

三日目、帰りの下り、時間にして約4時間歩きのペースを落して頂き何とか下山することが出来た。ありがとうございました。足の運び方で膝の痛さを少し抑える事が出来る様になった。何時ものように山小屋での一杯、焼酎、ウイスキー、日本酒と色々なつまみ、最高な気分。山荘の食事は、今までになく美味しかった特にサバの味噌煮。新越乗越山荘のトイレはペーパーが流せ洗面所に手拭きが有り尚紙パンツも無料でお使いくださいとありました。浄化槽でもあるのかな。

結構若い女性の単独行が目立ちました、それもかなりの荷物を背負っていました。逞しい。自分たちの先輩と思われる方たちも大勢いました。自分はいつ頃まで山歩きができるか。元気なkさん休憩中、すれ違う時、色々話し掛けて楽しそうでした。余裕綽々で恨めしい。名古屋からのグループで元気のよいお姉さん達と抜きつ抜かれつの下山。追い越す寸前、先頭を行くリーダー、何かいいものを見せてもらった見たい。
あっという間の楽しい3日でした。リーダーはじめ皆さんありがとうございました。
 (T.K)

岳 たけ がく
名の通り 手強い
蓮華 針ノ木 スバリ 赤沢 鳴沢
平成2999日 土曜日
忘れられない 至福の 1日だ
行き合いの空 ありがとう
ダブル S さん ありがとう
トリプル K さん ありがとう
(ツァラトゥストラ)

コース記録

1日目

東京駅6:16発=(かがやき501)=上野駅6:227:38長野駅8:15(特急バス)=扇沢10:05

扇沢10:25発=大沢小屋11:45=最後の水場14:20=針ノ木小屋15:05着(泊)

2日目

針ノ木小屋6:107:10蓮華岳7:258:05針ノ木小屋8:259:25針ノ木岳9:4510:40スバリ岳(昼食)11:1513:15赤沢岳13:4014:30鳴沢岳14:501530新越山荘(泊)

3日目

新越山荘5:506:30岩小屋沢岳6:408:00種池山荘8:30=柏原新道登山口11:20=扇沢11:35

扇沢11:45=(タクシー)=12:10信濃大町駅12:3512:40七倉荘(入浴)13:30〜(昼食・散策)〜信濃大町駅15:2716:26松本駅16:58(新宿行)/17:18(千葉行)


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