日本最高所の露天風呂から仰ぎ見る硫黄岳の爆裂火口は圧巻


硫黄岳 2760m 2014年7月12日(土)〜13日(日)

硫黄岳は南八ヶ岳の北端に位置し、山頂はなだらかで、南北両硫黄岳山頂で側に巨大な爆裂火口があり断崖絶壁となって切れ落ちている。今回は八ヶ岳を東側から登り本沢温泉に宿泊して、硫黄岳を経由して西側の美濃戸口に下る横断コースを巡る。

 新宿8:00発あずさ号に5人集合、心配していた台風も通過して天候はひと安心、穏やかな気分で新宿を出発。予定どおり小淵沢駅に到着、待ち合わせ時間4分で小海線に乗り換える。「お急ぎください」のアナウンスの中、駆け足で線路を挟んで向かい側のホームに停まっている小諸行きの列車に乗り込む(なんでこんなところで走らにゃいかんのかとの思いで)。

予定より少し遅れて松原湖駅に到着、バスを変更して予約していたタクシーに乗車して稲子湯に向かった。11:20みどり池入り口の駐車場に着く、稲子湯のバス亭より30分入った所なので、バスの待ち時間を入れて約1時間短縮出来た。各自準備体操をして11:30出発、唐沢橋の手前のゲートをくぐり、橋を渡った後、緩やかに登って行く。カラマツ林の中、歩き易く整備された登山道を気持ち良く進む。周りは緑に溢れ、いたるところに小川が流れ、すがすがしい気分に浸りながら暫く歩く。やがて大きな沢に出会う。これがこまどり沢で、ゆっくりと昼食を摂る。

みどり池までは登りがきつくなるが、30分程で池の畔のしらびそ小屋に到着。ここでの楽しみは、みどり池越しに見る天狗岳である。まさに天狗が羽を広げたように見え、池の美しさと相まって素晴らしい景観である。この後本沢温泉までは標高差はほとんどなく鬱蒼と生い茂った原生林の中の道を辿る。所々に沢が流れ、又湿地が見られる。そのなかに珍しい花を発見、九輪草(クリンソウ)という山野草で、赤い小さな花が茎の先端に幾つも輪になって咲いているのである。

15:15予定より早く本沢温泉に到着。早速、男性陣は天空の露天風呂へ向かった。山小屋より10分程の所の沢の斜面にポツンと風呂があり、周りには何もない。遮る物もなく硫黄岳の爆裂火口の山頂が望まれる。しばし4人で独占しゆっくりと露天風呂に浸かることが出来た。風呂の後はビールということで、小屋の前のテーブルにつまみを持ち出し生ビールで乾杯。風が爽やかで心地よく夕食前の小一時間を過ごした。夕食では両隣の名古屋から来たグル−プと会話が弾み楽しい食事であった。その後九輪草祭りのコンサートがあるということで広間に集まり、昔懐かしい歌を歌った。大槻さんの美声が隣でよく響いていた。

翌朝は雲が高く今日1日は何とかもちそうな天候であった。小屋の前で準備体操を済ませ、予定より早く6:10出発。歩き始めて直ぐに天狗岳への分岐を通過、沢沿いに進みやがて樹林帯に入る。ここでも道が良く整備されておりとても歩き易い。しかし硫黄岳への登山者は少なく、宿泊客のほとんどが天狗岳へ登るようだ。ようやく空が開けてきたところで夏沢峠にでる。やまびこ荘の屋根越しに、これから登る登山道がジグザグに硫黄岳の山頂に伸びているのが良く見える。かなり急登のようだ。

峠からはダケカンバやシャクナゲなど生える樹林帯の中、急登が暫く続くが30分程で森林限界地点となり、高木の見当たらない岩ゴロの登山道になる。岩陰のあちらこちらにツガザクラやコイワカガミ、イワウメなど高山植物が咲き乱れており楽しみであるが、風が強く夏でも寒く感じる。石積のケルンまでようやく辿り着き、頂上まではあとわずか。さらに石のガレ場を進むと爆裂火口が鋭く落ち込んだ圧巻の山頂に到着。登山道からはその姿さえ見せなかった、八ヶ岳の主峰赤岳、をはじめ、横岳・阿弥陀岳などそうそうたる雄峰が眼前に現れる。

山頂は風が強く、雲行きも怪しくなってきたので早々に下山する。岩地の稜線を急降下して黄色土に染まったザレ場の赤岩の頭の分岐に出る。これより樹林帯をジグザグに一気に下り赤岳鉱泉に出る。小屋で早めの昼食を済ませ、小雨がパラパラと降ったり止んだりの中、先を急ぐ。北沢に沿ってゆるく下る途中、特に周りの緑の景観が素晴らしい。苔むした岩や倒木、その中を流れる清流、美しい木立にカラマツ林と自然豊かな八ヶ岳の山麓であった。1時間程で堰堤広場にでて、ここからは美濃戸山荘を経由して美濃戸口まで約1時間半の林道歩きとなる。途中雨が強く降ったりしたが、無事12:55に美濃戸口バス停に到着した。赤岳山荘で入浴休憩し、予定より1便早いバスで茅野駅に向かい、ここでも1時間早い16:20のあずさ号で帰路に就いた。(H.S.)

コース記録

1日目
新宿8:00―9:53小淵沢9:57―11:05松原湖11:10−タクシー―11:30みどり池入り口―13:30みどり池―15:15本沢温泉

2日目
6:15本沢温泉―7:20夏沢峠7:30―8:30硫黄岳8:45―10:15赤岳鉱泉10:35―11:55美濃戸山荘―12:55美濃戸口14:45―15:22茅野16:20―18:36新宿

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