北アルプスの最深部を悪戦苦闘の末、踏破
雲ノ平:2500m、双六岳:2860m 2019年8月7日(水)〜10日(土)
雲ノ平は北アルプスの中核部に位置し、花と草原に彩られ、峻険な山とは一線を画した、穏やかな安らぎの地、絶景の展望台である。今回の山行は雲ノ平と鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳の名峰を組み合わせた欲張りなコースです。
1日目(8月7日):朝一番の北陸新幹線「かがやき501号」に東京駅、上野駅から乗車し、8時半前には富山駅に到着した。富山地鉄の立山行き特急電車に乗り換え、有峰口で下車。途中で小学生高学年とおぼしき大集団が乗り込んできた。足元は全員登山靴を履いており、立山の雄山に登るらしい。電車は揺れに揺れて進む。有峰口からはバスで折立へ。11時前に折立登山口を出発。樹林帯の中、無風状態での急な登りは堪える。段差の大きな登山道を登りつめるとベンチのある三角点に着いた。
昼食後、開けた登山道を太郎平小屋に向けて黙々と登る。途中、五光岩手前で雨がポツポツ降り出したので雨具を装着。一度、稲光とともに大きな雷音が響いたが、なんとか山小屋まで殆んど濡れずに着くことができた。到着後、雨脚が強くなったが、急速に回復。夕食までのひとときを外のベンチで反省会(?)。6人部屋一室を割り当てられ、スペース的に狭いので押入れの上下に2名、4つの布団に5名が雑魚寝することになった。
2日目(8月8日):太郎平小屋から薬師沢小屋まで下り、そこから500m強の急登経て雲ノ平に登り、庭園巡りでのんびり過ごせる1日だ。小屋を出てすぐ、北ノ俣岳・黒部五郎岳への道を分けると急な下りが続く。薬師沢を第1、第2、第3渡渉点で渡るが、その度に大きなアップダウンを強いられ体力を消耗する。カベッケガ原を過ぎて大下りすると黒部川と薬師沢の合流地点に立つ薬師沢小屋だ。黒部川に架かるつり橋は1人ずつ渡る。結構揺れるのでチョット怖い。槍ヶ岳直下を思わせる鉄梯子で河川敷に降り立つ。ここから雲ノ平西端まで樹林帯の中の一気の登りが続く。最初は小さなハシゴの連続、急登だ。連日の夕立で濡れたゴロゴロとした岩は滑りやすく登りづらい。下りはもっと大変だ。目の前で1mほど滑った下山者を見た。幸いけがはなかったようだ。小刻みに息を整えながら登るがなかなか先が見えない。徐々に上方が明るくなり、やがて傾斜が緩んできたがなかなか木道が現れない。
木道が出てきてほっとしたのもつかの間、アラスカ庭園までは緩やかな登りが続いた。庭園でお弁当を食べ大休憩。雲ノ平は木道が整備されており歩きやすい。奥日本庭園=写真右上=で休憩後、アルプス庭園(祖母岳)をパスして雲ノ平山荘へ向かう。(小屋到着後、1人で祖母岳へ、壮大な景色を堪能)受付時には混雑のため、2人/1布団で寝ることに…。幸い夕食後に1人/1布団との連絡がありほっとした。
メンバーの疲れも相当なようなので、翌日のコースを変更することにした。当初予定の祖父岳、ワリモ岳、鷲羽岳をパスして、祖父岳を巻いて黒部源流を渡渉し、三俣山荘に登り返すコースで約1時間の短縮となる。累積標高差も少なくなり負担も減る。
3日目(8月9日):雲ノ平から黒部源流を渡渉し、三俣山荘から三俣蓮華岳、丸山、双六岳を登頂し、双六小屋までのちょっとアップダウンの多い行程だ。小屋を出発、キャンプ場の水場で水を補給し、祖父岳分岐まで登る。左手には水晶岳が近くに聳えている。岩谷小谷の沢ぞいに高天原へ下る斜面も見えた。分岐からはしばらく木道が続く。いきなり木道上に子連れのライチョウが現れた=写真左=。晴天なのに驚きだ。しばらく撮影会を楽しむ。木道が終わって緩やかな斜面を下っていくと、また別のライチョウ親子と遭遇した。
大きな雪田越しに槍ヶ岳を望んだ後、コースは黒部源流に向かって大下降だ。急斜面をジグザクに降りる。降り立った沢には一本のロープが張ってあり、水面から頭を出している大きな石を頼りに渡る。少し緊張した。三俣山荘まで登り返して昼食。お弁当は大きなおにぎり2個、なんとかお腹に詰め込んだ。ここから三俣蓮華岳への登りにかかる。足が重い。なんとか巻き道分岐まで登った。頂上まではあと少しだが斜面が急だ。何度も足が止まる。頂上に着いたらさっそく三角点をナデナデする。三角点の柱の一角だけ『三角点』の文字が刻んである。残り3面は無印だ。文字のある方角が南を差しているのをご存じだろうか?
頂上から北アルプスの山並みを満喫した後、丸山へ登り返す。双六岳へ向けて本日最後の登りにかかる。双六岳山頂=写真右=では槍ヶ岳方面が雲に覆われていた。広々とした双六岳の丸みを帯びた稜線の向こうに聳える槍ヶ岳・穂高連峰の有名な景色は残念ながら観れなかった。双六岳の下りもなかなか厳しかった。途中、丸山・双六岳鞍部からの中道ルート、三俣蓮華岳直下からの巻き道ルートを合わせ、なんとか双六小屋に降り立った。
4日目(8月10日):最終日は鏡平を経由して、新穂高温泉までの1500mほどの長い下りだ。出発前に待機していた山小屋の女性スタッフに、『双』『六』『岳』『小』『屋』のサイコロを手に持って写真を撮ってもらった。キャンプ場わきの木道を進むと登りが始まる。昨日までの疲れから足が重そうだ。弓折岳分岐までは小さなアップダウンが続いたが、ここからは長い下りになる。分岐から鏡平山荘までは急な下りが続く。登ってくる人が多く、すれ違いが大変だ。鏡平の池に映る「逆さ槍・穂高連峰」は観れなかったが、最後の雄姿を目に焼き付けて長い下山を開始する。
シシウドガ原、秩父沢出会を過ぎ、小池新道入口まで降りてきた。ここからは新穂高温泉まで林道歩きだ。ワサビ平小屋では200円のトマトがやたら美味かった。林道歩きを頑張って、新穂高温泉ロープウエイ口では軽食を取ることができた。平湯温泉「ひらゆの森」で入浴、食事休憩を取り、高速バスで21時過ぎに新宿へ着いた。
3連休の直前で山小屋の混雑がそれ程でもなかったことや天候にも恵まれ、名峰の大展望を思う存分楽しむことができ、北アルプス最深部の雲ノ平は想い出深いものとなった。3泊4日の長い日程で疲れもたまっていたこともあり、一部コースを変更して対処した。鷲羽岳への登頂はいつの日にか…。(S.S.)
<参加者のひと言>
★今回の登山は天候に恵まれ、雲の平を囲む薬師岳・黒部五郎岳・水晶岳・鷲羽岳の雄姿と笠ヶ岳・槍ヶ岳・穂高連峰など北アルプスの名峰を眺める3泊4日の絶好の山旅となりました。またそれらの山を望みながらのビールは格別の味でした。
(S)
★北アルプスの山は、山が高く、谷も深い、山々も濃く、貴重
な4日間でした。
山の 名前、薬師岳:槍ヶ岳:三俣蓮華岳:双六岳は覚えました。
山小屋初心者、3泊4日お世話になりました。
ありがとございます。
最後に、家に帰ってこれて、よかったです。
(S..A.)
★初日は旧七夕
富山県の太郎平小屋
標高は爺山見ろ(2330m)
お天気雨の夕方でした
アルプスの連山にレインボー!
その上部に薄く富久(副)虹までも
ゼウスの粋な演出としか思えません
不思議な多幸感に包まれました
これだけでも感謝です
なのに別の日にも
晴れた日は珍しいと言う
雷鳥の親子とバッタリしたり
思い出深い山行となりました。
(平野)
★濡れたハイマツの遥かに続く縦走路
遥か下に光る一筋の沢
谷から吹き上げくる心地よい風
いつまでもついてくる槍、穂高の展望
寝言といびきの大合唱
夜中の用足しの後に小屋の外に出て見上げた満天の星
雲ノ平小屋の和式トイレ
A氏の一呼吸
朝露の輝くチングルマの実
雷鳥親子の出会えた幸運
乾いた岩肌に落ちる大粒の汗と汚れた首手ぬぐい
みんな今年の夏山の思い出デス
(手拍子足拍子)
★かねて訪れてみたいと思っていた北アルプス最奥部の雲ノ平。アラスカ庭園、日本庭園、スイス庭園など瀟洒な名前にもひかれた。しかし、たどり着くには一筋縄ではいかない。不整形な大きな岩がゴロゴロ。急流にかかる吊り橋、ギラギラ感が半端ない真夏の日差し。どれもこれも、雲ノ平の夏だ。やり残していた宿題をようやく終えることが出来た。
(G)
コース記録
1日目
東京6:16発=(かがやき501号)=8:26富山8:56=(特急電車)=9:33有峰口9:45=(バス)=折立10:40着
折立10:50発=12:30三角点(昼食)12:50=14:20五光岩ベンチ14:30=太郎平小屋15:30着
2日目
太郎平小屋5:50発=第3渡渉点7:25=8:35薬師沢小屋8:50=11:45アラスカ庭園(昼食)12:15=12:45奥日本庭園12:55=雲ノ平山荘13:10着(泊)
3日目
雲ノ平山荘5:55発=7:15祖父岳分岐7:25=8:50黒部源流9:05=9:55三俣山荘(昼食)10:30=11:45三俣蓮華岳12:10=12:40丸山12:50=13:50双六岳14:05=双六小屋15:10着(泊)
4日目
双六小屋5:30発=6:45弓折岳分岐7:00=7:45鏡平山荘7:55=9:40秩父沢出会9:55=11:00ワサビ平小屋11:10=新穂高温泉12:10新穂高温泉12:55発=(バス)=13:28平湯温泉(入浴&食事)16:05発=(高速バス)=バスタ新宿21:10着
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