強風に耐えて登頂し温泉組と合流。下山路の紅葉と名湯に癒される
栗駒山 1627m 2016年10月6日〜7日
台風18号の動きにやきもきした末、スピードアップして温帯低気圧に変じ太平洋に抜けた台風に安堵したのもつかの間。台風一過の青空とはいかず、荒天の中での登頂となった。みちのく紅葉山行は一筋縄ではいかない。
19人が参加し山行組と温泉組のメンバーは、それぞれ東京駅、上野駅から分乗して朝まだきの都内を後にし、新幹線やまびこで一路北上した。
山行組11人がくりこま高原駅で下車すると、改札口では「山遊浪漫会様」の紙看板を横に広げて、地元のバス会社の2人が出迎えてくれた。「現地からの電話によると、山の方はちょっと雨が降って、風があるようです」。若干、嫌な予感。台風は見事に通過したものの、やはり名残はあるようだ。
当初の東栗駒コースは増水した沢を徒渉しなければならず、足元の道がえぐれていたりするので、易しい中央コースに切り替えて頂上を目指すことにした。しかし、その2時間後、雨具で身支度を整えて登り始めた我々を待ち受けていたのは、強風だ。早くも嫌な予感が現実のものになった。風がビュービューと音を立てて吹き始めた。高度を上げるに従って風は強まる一方。一時は撤退も頭をよぎったが、山頂を越えて宿泊予定の須川温泉の下山口を目指すしかない。耐風姿勢で強風をやり過ごし、横殴りの雨をしのぎ、ひたすら歩く。思いのほか早く、登山口から2時間弱で山頂に到着することができた=写真左下=。
やはり、山頂はとても長居が出来る状況ではない。周りの山も、見えるはずの紅葉の山肌も残念ながら視界数メートルの向こうにある。記念写真をそそくさと撮り終えた後に、今まで登ってきた南側のルートよりもさらに厳しい北側の須川温泉の斜面を下り始める。
尾根では強い風にあおられて、崖下に落ちないよう、足元を確認し、重心を低くして我慢しながら歩く。我慢、我慢と言い聞かせながら須川温泉への分岐点となる天狗平を抜けて、低い樹林の中の下山道に入る。台風の余波の雨が足元に大きな水溜まりを作っているうえ、その水溜まりの中に大小の岩が隠れていて、着地に気をつけないとスッテンコロリンだ。ここは、気持ちはせいても慎重に下るしかない。黙々と歩く。
山頂から1時間余り、ようやく碧い水をたたえた昭和湖に到着し、ほっと一息つく。しかし、まだ気が抜けない。さらに増水した沢を越え、名残ガ原の木道にさしかかったころ、辺り一面の紅葉に気がつく。風雨のピークを越えて、やっと余裕ができ、赤や黄色、そして緑が入り混じった素晴らしい錦の山肌に目を奪われる=写真下=。
。お腹もすき始めた。山頂ではとても昼食どころではなく、途中途中も強風にさらされて、食事どころではなかった。風も収まったのを見計らって、それぞれ、おにぎりやパンを口に運び、エネルギーの充填だ。
昼食後、歩き始めてまもなく、紅葉越しに須川温泉の屋根や源泉の噴煙が見え隠れしてきた。須川温泉まであと500mの標識も出てきた。ここまで来るとあと少しだが、登山道には相変わらず大きな水溜まりが広がっているため、足元に注意しつつ、歩を進める。今頃、一関から上がった温泉組の8人はどうしているだろうか。
須川温泉の源泉を引くパイプが足元に幾重にも伸びていて、すでに宿が近いことがわかる。噴煙の横を通り、湧きだす温泉の湯煙に手を入れると、ほんのり暖かい。これまでの登山道の辛さがすーっと癒されていく。我が国屈指の豊富な湯量を誇る源泉の湯とあって、ここかしこに煙が上がる、東北の名湯須川温泉ならではの迫力ある光景に感心しながら、宿に入った。
温泉組は、朝、新幹線で一関到着。すぐに須川温泉行きのバスに乗り換えて到着した後、西にある須川湖までの散策を楽しんだとのこと。山行組が須川温泉に到着する少しまでに温泉組は宿に入っていたが、山行組が予定より早足で下山したことで、午後2時ごろには早々と合流できた。それぞれが6時間ぶりの再会を喜び合った。
その後、夕食までの時間、いつものようにピッチを上げて歓談する人、何度も温泉につかる人とそれぞれが思い思いに夕食までの時間をつぶした。午後6時からの食事は我々のグループだけの広間だ。美味しい料理とお酒、そして何よりも尽きることのない話に花が咲き、須川の夜のとばりが降りるまで楽しい時間が流れる。
翌日はバイキングでしっかり朝の腹ごしらえ。朝9時には温泉前のバス停から一関行きのバスに乗車し一関へ。満員のバスに揺られること1時間半。予定より遅れ気味のバスに乗り継ぎがうまくいくか心配しながら一関着。今度は、仙台までの高速路線バスの回数券を急ぎ調達して、杜の都仙台へ。2日目のバスの乗り継ぎがうまくいくかどうか、無事仙台発の新宿行きの高速バスに一人残らず乗車できるか、「大人の遠足」に気をもんだが、何とか全員無事に東京までの高速バスに乗車できて一安心。あとは快適な3列シートの高速バスに身をゆだねて、午後6時過ぎには都内に入った。王子で下車した者、最終地のバスタ新宿で下車した者とさまざま。またひとつ思い出を残し、1泊2日の秋のみちのくから舞い戻った。(G)
コース記録
【10月6日(木)】
東京6:04=(新幹線やまびこ41号)=8:26くりこま高原8:40=(マイクロバス)=9:50いわかがみ平10:10⇒11:40栗駒山11:55⇒12:10天狗平⇒13:55須川温泉(泊)
【10月7日(金)】
朝食7:00〜須川温泉9:00=(バス)=10:35一ノ関11:00=(高速バス)=12:20仙台12:50=(高速バス)=18:00都内 解散