「丸山」という響きの優しさに誘われて 

 丸山 960m 2019年6月2日

私なりにこのプランのご案内すべきポイントを挙げ、丸山頂上の展望、山の花道のmaruyama花々、農村公園のローラー滑り台、ターザンロープ滑り、芦ヶ久保道の駅でのお買い物を列記し、まずは下見に会員三名で訪れた。結果、決行日の6月初旬では、頂上展望も山の花道も望み薄いことが判明。ローラー滑り台には興味を惹くか喰いつきが気がかりで、さらに最後の砦「お買い物」もイチゴがかろうじてシーズン最後で味のほうがイマイチであることが判った。そこで夏山シーズンへのステップとして計画書には「夏山登山に備えての企画」とした。

定刻に芦ヶ久保駅に総勢18名の会員が降り立つ。さぁーてと、これから三時間あまりトイレが無い。何はともあれトイレ、トイレ。そして「大野式ストレッチ」で寝ぼけている体に目覚めの合図を送り、運動モードに切り替え、気合をいれて出発だ。国道沿いにしばらく進むこのコースの登りのいやらしさは、徐々にそうとは気付かぬうちに、そしていつの間にか傾斜がきつくなっていることにある。

あらゆるコースガイドの目安の所用タイムに大野峠までの間に30分ほどのバラつきがあって、我々はその最大値での進行を選択。ここでペース配分を誤ると下山時の体力の残存にも影響を及ぼしかねない。用心、用心。コースタイムに惑わされずに行こう。国道を分けてすぐの集落の水を使わせていただき、例の「大福餅」の登場、そして衣類調整。ここからいよいよ山道に入る。足運びをゆっくりと慎重に行く=写真左下(忍者撮影)=。まだまだおしゃべりが絶えないが、雑木林を過ぎ、スギ、ヒノキの植林の中、会話も途絶えぎみになり、あえぎつつ黙々と高度を稼ぐ。こまめに給水、小休憩を取り、少し明るく見える大野峠前の最後の急登の連続攻撃をなんとか皆で声を掛け合い、ザックを預かり、協力して攻略。車道に交わる峠にたどり着き、長めの休憩。

ここでまた末光さんのブドウがふるまわれた。少しはザックの重量軽減に協力しなくては。さあ、『しゅっぱーつ』と声をかけようとしたところ、東屋で休息していた、この日開催の「奥武蔵ウルトラマラソン」応援者の年齢不詳、フラダンス衣装をまとった、エイドステーション設営のオジサン・オバサンに大野さんが声をかけられ、おそらく東屋占拠の非礼のお詫びの意味だろうか、スイカをいただいてきた。これもおなかに入れてごちそうさま。この後はあの電波塔を目指して最後の登りが続くが、目標を捕らえたときの集中力は大きな力を発揮する。

丸山にてやがてその先にコンクリートの要塞のような展望台が現れる。ここが丸山の頂上、展望広場だ。まずは展望台の風と眺望を楽しむ。展望台には無料の望遠鏡もあるのだが、自慢の展望もこの日の雲に阻まれて近くの山々しか望めない。石灰石採掘で山肌を段々の縞模様に変えてしまった「武甲山」、4月の花見山行でおなじみ、頂上に天文台ドームをしつらえた姿は「堂平山」だ。私の予備知識で案内できるのはそれぐらいで、展望板によれば、その奥に条件がよければ日光白根山や男体山、さらには谷川連峰ですら見えるらしい。そして各自楽しみの昼食を摂るのだが、そこかしこからおすそ分けがあって、煮玉子、お漬物の数々、デザートのフルーツ三昧。カミさんの早起きで用意したおにぎりも食べ切れず、不本意ながら持ち帰ることになってしまったほど。皆様ごちそうさまでした。

頂上広場を後にして数分の待望のトイレを利用。水が冷たくて気持ちいいはずが、ずいぶんと気温が下がり、各々上着を羽織る。ここで尾根伝いのルート、県民の森展示館経由、巻き道の三択があるのだが、もう少しアップダウンの余韻を楽しむために尾根伝いルートを選択。これで本日の登りは最後だ。ほどなく巻き道との合流点に着く。靴紐を締めなおして、いよいよ下りにかかる。

ここからは砂利や砂礫、雨水に洗われた小石が路上を埋めており、ズリズリと滑りやすい場所が数箇所、断続して現れる。トレッキングポール持参者には活用を促して注意しておりていただく。鬱蒼として幽玄なスギ・ヒノキの植林の森と雑木林が交互に続き、道幅も広いので、このコース一番の好印象を持たれるロケーションだろう。そんなうっとりする場面からスギ林のジグザグに続く日向山方向に高度を下げて歩き、車道に下りる。続く目当ての「山の花道」であるが、やはり残念ながら、この6月の初旬だけ、狙い澄ましたように何もないのだ。本来なら、いつ来ても楽しめるように途切れなく、さまざまな植栽が迎えてくれというのにも関わらずだ。

でも私は知っている。二度目の下見に訪れた421日。鬱蒼としたスギ林に隠されていてな〜んにも色彩が無い所に突然目の前に色彩豊かに現れる、色とりどりのサクラ達の登場を=写真下の桜(山の花道)=。良くしたものでそんな残念な現実を救ってくれたのが、「木の子茶屋」で飼われているらしい猪の子うり坊で、ラグビーボール大のコロコロした体をせわしなく動かして人を追ってくる。言い訳になるが、その愛嬌あるしぐさにあえなくノックアウトとなってしまい、私も誘導すべき本来の山道を外れてしまった。150mほど下りて気付いたものの、戻った組5人と相互確認して、お互いそのまま進み、数分の地点で無事合流。事なきを得た。

そんなこんなで目論見のタイムスケジュールをオーバーしてしまっていたのだが、あわてないあわてない。このピンチ?を救うべく、起死回生の策を講じていたのだ。実は山行後の立ち寄りの湯「武甲温泉」に電話予約を入れ、条件付ながらどこでもお迎えの確約というアドバンテージを得ていたのだ。そのこともあってその後予定の農村公園の「ローラー滑り台」もご案内したのだが、くどき文句のアジサイの花が6月中旬からということと「いいオトナ」がというバイアスに囚われているようで駄洒落じゃないが、皆ノッテこなかった。あとは道の駅の「お買い物」が最終指令だったが事前の市場調査で、お得感がイマイチの評価であったため、少しばかりの余り時間をそれに当てるという暴挙に出てしまった。尻すぼみの山行計画消化に後ろめたさを感じつつ、温泉送迎バスを手配。15時過ぎに駅まで出迎えいただいた。

温泉はジェットバス付き大浴場、露天風呂、炭酸泉、サウナ、水風呂と一通りの施設を抱えた大きさで、その後の反省会場もしっかりテーブル席を確保。本来持ち込み禁止のはずが、やさしーいオネガイコールに負けたようで、昼食時並みのおつまみが並び、しっかり反省会を行い、本来の予定時刻に30分ほど押してはいたが、すべての挙行目的をこなして終了。送迎バスに送られて横瀬の駅から池袋直行1657発急行で池袋には1833に着いた。ありがとうの声の掛け合いで解散。ふー、長い一日だった。

以上、駆け足で振り返ってみたが、丸山の魅力はやはり展望であり、山の花道もこれだけで挙行してもイケル最盛期がある。時季を見極めて再度訪れたい。池袋から一時間半ほどで、往復1,400円。お気軽で駅からワンストップ解決の山行がうれしい。今回私が心がけたのは、当たり前だが、みんなで一緒に頂上に、そして無事に下山を。が大前提だ。さらに望めば「楽しかった」の感想があればありがたい。コース上に他のパーティもなく、皆様のご協力があって余裕ある時間配分で行動できたことで概ね達成できたのではないだろうか。感想が気になるところだが、自己評価を下せば、敢闘賞といったところではいかがでしょうか。

最後に余談だが、先月「心が叫びたがっているんだ」というタイトルに惹かれてNHKのテレビ映画を見た。のっけから王子と王女を夢見る小学生の少女がでてくるアニメ映画でこれはマズッタかなと思ったが、父親の不倫現場を母親に王子と王女になぞらえておしゃべりしてしまい、両親の離婚を招いてしまう。「おしゃべりのせいで・・」という呵責からおしゃべりを封印してしまい、高校生になった今でも無理に会話を試みると腹痛を起こすというところあたりで興味を抱き、複雑に展開するストーリーから、とうとう最後まで見てしまった。途中、既視感を覚えて慎重に背景を見ていると、なんとそのまた先月に下見した場所がぞくぞく現れて、武甲温泉の行き帰りの小学校や三菱セメントの大きな工場施設塔、横瀬駅の構内や広告看板の「やまとあーとみゅーじあむ」のリアルな薄汚れ具合などが実写に近く表現されていた。どれほどの評判を得たのかはわからないが、海外からも聖地巡礼という形で訪れているらしい。図らずも、われわれも聖地巡礼とやらをしていたようだ。芦ヶ久保を通過する際に見た武甲山の山容が例えようもなく偉大に見えて、車窓に納まりきれないほどで、私に後年までも印象付けようとする圧倒感を感じさせた。

最後に、今回の計画作成段階からこの日の実行までに多くの会員のたくさんのご協力を頂戴したことに感謝申し上げたい。大変お世話になりました。ありがとうございます。(K.K)

<参加者のひと言>

意外ときつくなくて登りやすい山でした。しかし最後の車道はきつかった。高尾山の一号路の様な急坂が続き膝が笑ってしまいました。温泉まで歩きを覚うり坊悟しましたが、駅までバスを迎えに来てもらい無事に温泉へ行く事が出来ました。リーダーの小室さんの何時もの気遣いありとうございました。久々ありがとうございました。本当に楽しい山でした。
(性格の良い日野富子) 
*自己申告

曇り空のした、初夏の山を満喫できました。途中、トレイルランを応援し、武甲山を見ながら、たくさんの差し入れでお腹一杯のお昼ご飯でした。温泉で汗を流し、美味しいお酒で乾杯しました。リーダーとメンバーの皆さん、お世話になりました。
K.m

山行にはとっても良い気温、雲りでとても心地よい山行でした。頂上からの景色は曇っていて良くは見ることは出来ませんでしたが、晴れていたらきっと素晴らしい絶景だと思います。今回は18名とたくさんの参加者でとても楽しかったです。電車の中で、コーヒーの缶を頭にぶつけてすみませんでした。今後気をつけます。
m.k

登り一辺倒ながら良く整備された道は歩きやすく、植林された杉は手入れが行き届きとても清々しい!! 下りも同様、長丁場ながらリズミカルに足を運べる。時々ご褒美のように現れる平らな道がありがたい。また、好きな山が増えました。たくさんの美味しい差し入れもごちそうさまでした。お風呂の送迎を手配してくれたリーダーの心配りに感謝です。
e-jan

奥武蔵  丸山は初めて挑戦いたしました、予定通り池袋駅出発して芦ヶ久保駅に到着。さーて本日の丸山を目標に全員18人で出発致しました、前半は長さは短いですが今回の一番急斜面を全員で無言で黙々と前進頂上に到着した時は、達成感でなんかスッキリした気分でした、リーダーの小室さんのペース配分が絶妙でした。ありがとうございました。
丸山頂上で昼ごはん皆さんの差し入れいっぱい有りこれまた最高の気分満足でした。後半スタート下りの不得意なタダミツは頑張って下りました。歩き易い道幅で自分にとってはラッキーでした。足や膝の痛みも無く無事下山出来ました、又、武甲温泉も最高でビールが美味しかったですね!
リーダーの小室さん、皆さん本当にお世話になりました。?

(タダミツ)道の駅のツバメ

久しぶりの山行でしたが楽しくいってきました。いつも感じることですが、リーダーの方のご苦労です。こころより感謝しております。
(ムー)

曇り空の山登り、暑くなくて良かった。大野峠まで登ると車道があり車でここまで来れるか・・・下山の途中猪(うりぼう)遭遇.・・・・お風呂入ってビールは最高でした。
(S.A)

舗装された峠の多い秩父はツーリングの天国とかで、芦ヶ久保の駅前には数え切れないほどのカッコいいバイクがずらり勢揃い。我々の山行は、道の駅のひさしのツバメの巣から顔を覗かせた4羽のツバメ家族に見送られてスタートしました。山頂までの3時間近く、そして武甲温泉の湯船に身を沈めるまでの3時間、途中トレイルランニングの大会に遭遇してスイカをいただいたり、パラグライダーに出会ったり、うり坊や山羊の散歩に出会ったり、変化に富んだ山歩きでした。リーダーの頭の中はてんこ盛りでこぼれるほど。時間の関係でそのすべてを咀嚼できませんでしたが、充実した山行となりました。
G

コース記録

西武池袋線 池袋駅705→芦ヶ久保駅835 道の駅900−赤谷930−大野峠1120−丸山1200(昼食)丸山出発1230−あしがくぼ山の花道1410ー農村公園1430−芦ヶ久保駅1510ー武甲温泉1520−横瀬駅1650 電車:横瀬駅1657→池袋駅1833

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