熱中症警戒アラートを逃れて「ミニ奥入瀬」の涼風に憩う
御岳山・岩石園 929m 2025年8月30日(土)
この数年来、夏の山行では暑さに悩まされている。本格夏山登山ともなれば高度がある程度は解消してくれるが、それでもその高みに到るには幾たびか、高温に晒される覚悟がいる。
も少し身近なお手軽山行の適地はと考えて、今回は深緑の水辺に設えられた山上の遊歩道、ロックガーデンを選んだ。
二週間前、10日前と天気予報の推移を追うと、一週間前では現地御岳山登山口で「最高気温29℃、最低気温20℃」と出たが、最終判断の日とした催行3日前の28日には「最高気温32℃、最低気温19℃」の予報となり、都心部ではなんと今夏の最高気温を記録する38℃越えの予報を報じていた。
が、熱中症対策を前提に現地へのアクセス短縮を目指し、山域への出入りをスムーズに行動できれば深山幽谷の涼風を享受できるものと確信。またカミナリ予報もクリアで催行実施を決断した。
現地のJR最寄駅は御嶽駅で、アクセスの良さからチョイスしたのは「ホリデー快速おくたま3号」。その名の通り、土曜、日曜、休日の運行で最短時間でストレス無く運んでくれる。ただ、最近はアウトドア志向の高まりからか座席の確保が困難。ということで集合は始発駅の東京駅とした。
余談だが、この便の詳報をと考えて簡単便利なスマホの検索サイトでマイクをタップし、『おくたま3号』と音声入力を試みると「奥様3号」が出てきて国民年金のコーナーに案内された。この頃よーくGoogleに滑舌の悪さを指摘されるのだ。
少し外れてしまったが、東京駅に参加者総勢9名が天気予報に臆することなく出揃い、空いている座席を確保。次の停車駅御茶ノ水駅ではたくさん乗り込んで、座席はすべて埋まった。フゥー、ひと安心だ。肌寒さを感じるほどに冷房の効いた車内にお試し参加者も交えてのおしゃべりの花が開くうちに御嶽駅に着く。
御岳渓谷での川遊び客、ロックガーデン目当て、そして終盤ながらレンゲショウマまつりもたくさんの客を呼び寄せたようで改札口がごった返していた。そそくさとバス、ケーブルカーの行列に整列乗車して順調に乗り継ぎ、10時前に御岳山駅に着いた。
さてここで事前入手の情報でレンゲショウマ=写真右上=の観察に混雑時には入場制限がかかるかも? とのことで計画の最後に取っておいた観察を偵察を兼ねて北側の群生地に向かう。はてさて、鬱蒼とした森林の中に入ると、拍子抜けするほどに人影まばらで、じっくりと撮影し、観察ができた。時期としては終わりの方なのだろうが、まん丸つぼみが印象的で薄紫の花びらを下向きに開き、うつむき加減に可憐な姿で迎えてくれた。
初めて見たという人も多く、日陰の薄暗さの中にひっそりと、しかし眼を凝らせば圧倒的な数に感銘ひとしきり。
さて、ようこその歓迎アーチをくぐり、出発しよう。道中のおしゃべりにもひと花咲かせるうちにビジターセンターに着いた。
給水を済ませ、情報入手、トイレも済ませて後、歩を進めると宿坊と民家を過ぎた辺りで急な坂が現れ、さらにケヤキの大木を抱え込んだ店の下を回り込んだ先の参道の両側に仲見世が現れて賑やかだ。
御嶽講の参拝者よろしく隊列を組んで通過すると鳥居と階段が現れて、いよいよ御嶽神社へと誘う。ここは階段の誘いに乗らず、陽光を避けることを名目に難所の階段を回避し、日陰の巻き道の女坂へと迂回した。ほどなく荘厳華麗な神社本堂、拝殿のお社が現れる。
とりわけワンちゃんを家族として可愛がる人たちに人気のパワースポットだ。脇を固めるのは狛犬ならぬオオカミで、その昔ヤマトタケル東征のおり、ミコト危急に際して助け導いたという伝説に登場。そのオオカミがこの地を警護する。
参詣も済ませて下りは正面階段を今度は堂々と降りる。いくつかの道標を過ぎ、ロックガーデンを目指した。おしゃべりを交えてしばらく緩やかに、時には急な坂をこなして下り降りるとやがて周りがそこまでの杉木立に代わり、鬱蒼とした緑の木々に成り変わっていた。
微かなせせらぎの水音を頼りにさらに下りると、そこに現れたのはあの「奥入瀬」にも例えられる苔むす世界、本日のハイライトシーンの始まりだ。初めての人の『涼しーぃ』や『気持ちいぃー』の歓声に、してやったりとニンマリしてしまう。
それにしても水の流れに配された飛び石の設えは、東京都の前身の東京府の事業。「東京の奥入瀬」を目指して着手し、名称を「岩石園」としたもので、時を経て「ロックガーデン」の名称が定着した。90年も前の人の手に依るものと感じさせない程に自然に溶け込んでいて見事だ。
お昼時でもあり、この至福のロケーションをお弁当とともにあじわいつつ、ゆったりと過ごし、満腹感に満たされてさらに奥地に進む。
やがて岩壁に囲まれた大勢の人の立ち止まる空間では『オォー』の歓声に盛り上がり、さらに綾広の滝が聞えるとクライマックスである。名残惜しいがここでロックガーデンも終点。ジグザグに登り詰めると折り返しのトラバースのゆったりした長い道に至る。
歩きだす前に東や(アズマヤ)の休憩所で呼吸を整え、さらに次の水場で手を洗い、水の冷たさに感謝。ここからは鼻歌混じりで歩けそうなゆったりした道幅で、杉木立の薄暗さのくねった長い道をわずかな上り下りを楽しみに歩く。
40~50分も歩いただろうか? 「天狗の腰掛け杉」を過ぎると午前中ロックガーデンに降りた見覚えのある道に出合う。ここからは来た道を辿り、神社下前の分岐で、疲れも見えてきたので、さて相談だ。ここから往復20分程度の長尾平での展望はどうか? 向かうべきか否か? の問い掛けに賛同していただき、向かうことになった。ここはすぐ近くの日の出山にも劣らずの眺望を誇るのだが、今日は霞みが勝っており、今一つの結果だった。
しかし実はここでパイ付きのホットコーヒーのサプライズサービスを目論んでいたのだが、立案と下見の同行、さらに計画のご協力者が体調不良で不参加となってしまったのだ。彼らの応援に感謝。ありがとうございました。そんな隠れた温かいエピソードを披露させていただこうかと現場に連れ出したのだ。
すべてのミッションをこなしてケーブルカー御岳山駅に戻ったら、今朝のスタート地点の歓迎のアーチまで延びた乗車待ちの人の列が待っていて、予定便には乗り切れず、増発便に乗車。さらにあきらめていた乗り継ぎのバスも臨時便になんとか救われて、なんと最後には当初予定のストレスフリーの「ホリデー快速」乗車にも奇跡的に成功。神がかりの幸運を得た。おかげさまで乗り継ぎ時に覚悟していた日差しを最低限に避けることができたのだ。
降車駅が各自まちまちなので、車内での簡単な挨拶で解散とした。
都心では、やはり38℃越えのとんでもなく暑い一日だったようで、私たちの過ごした山上の半日、あの涼風に触れた一時が幸運もあり、皆さんのご協力もありで、得難くありがたいものとつくづく感じた。
最後にカメラマン役のTIさん、急なお願いに快くお引き受けくださり、ありがとうございました。ご協力に感謝します。
(K2)
<参加者のひと言>
★都心は今年最高気温だったようで、朝、東京駅に向かうのも暑くて汗だくになりましたが、山の上は時折爽やかな風も吹いて心地よかったです。
レンゲショウマ、初めて見ましたが、なんとも可愛らしく癒されました。
ロックガーデンから綾広の滝までの道の景観が素晴らしく、途中、鹿にも会えて
リーダーの小室さん、皆さん、ありがとうございました。
(Y)
★御岳山は個人的にも来てて久しぶりの散策でした。
暑い東京都品川から気温の涼しい道をいっぱい歩き、身体も気持ちも最高でした。武蔵御嶽神社で一息、又山道を歩いてたらなんと可愛い鹿が歩いてるじゃないですか?
最高でした。小室リーダー参加者の皆さん本当にありがとうございました。
(タダミツ)
★この酷暑の中でも、レンゲショウマは可憐な花で私達を迎えくれました。
ロックガーデンは涼しく、大好きな苔の中での昼食は最高でした。
見晴らし台に行く途中にヘリポートが有り滑落事故が多いとリーダーからのお話しで身が引き締まりました。
泊まりの時より大きなリュックに、熱中症対策のグッズを詰め込んで対処してくださったリーダーの小室さん皆様ありがとうございました。楽しい一日でした。
(MU)
★終わりの無い夏の中、御岳山は木々が多く爽やかな風が吹き気持ち良く歩いて来ました。今回初めてレンゲショウマを観て感動。なんて可愛い花なんでしょう。少し終わりかけていましたが、観ることが出来て良かったです
山の中は人もそれ程居なかったので歩き易かったのですが、勾配の厳しいアスファルトの道が続きそれが予想外でしたが全体に行って良かった山でした。
リーダーの細やかな心遣いには頭が下がりますありがとうございました。
皆さんにもお世話になりました
(K.Y)
バスに乗り、ケーブルカーに乗り、視た記憶のある店と通りを過ぎて、けやきの神木を見上げて、参拝した。
今回、とくに感動した小道があった。
谷のちょろちょろ流れる水のあいだに、踏み石にするような中程度の岩がつづいている。
緑色のコケがひろがり、シュンと立ち上がった樹木らを、夏の昼過ぎの強い日射しが入り込んで、つよく遠近を強調している。
すこしのあいだ、みとれ、大きく息を吸い込んだ。いい景色。
視線を、対岸斜面に移すと、鹿らしい。ゆっくり移動しながら食さがしの風に見える。
そんなこんなで、到着時は、少なかった人出だが、下山に向かうころ、われわれ以外の老若男女、人は増えてきている。
「みたけさん シルバーパスの 列もゆく」
(K)
★今回の御岳山は気温が高くなると前日から準備して行きました。
御岳山のケーブルを降りると東京駅よりは暑くなかった。
今回の歩きは、全体的に木の下の日陰を歩いている感じです。
御嶽神社の登りで汗をかきロックガーデンで鹿に遭遇したなど、楽しく歩きました。
リーダーさんありがとうございます。
(S.A)
★家を出て 駅に着くともう汗びっしょりです。バスが進むと濃い緑の木々から涼しさが伝わってくるようだ。
久しぶりに見たレンゲショウマは可憐で可愛い。ロックガーデンに歩いて行く途中で空気がストンと涼しくなるのが分かる。苔生した足下の岩場の水量はいつもより少ないけど
やっぱり綺麗な渓谷です。お浜の桂の木は元禄時代からとの事で本当に迫力のある木でした。その頃からロックガーデンを見ていたのですね。
都心はかなりな気温だったようだけど 御嶽山歩きは涼しかったです。帰りのケーブルカー、バス、電車はとってもスムーズでした。暑さからどうなるのか、と思ったけど
大汗かいて そして涼しくて 楽しかったです。行かれて良かった~。
たくさんの差し入れ ありがとうございました。冷たいコーヒー 美味しかったです。小室リーダー はじめ皆さん ありがとうございました。
(Y・S)
★初めて参加させて頂きました。
登山はほぼ初心者で、体力的にも課題が多い状態での参加でした。皆さんにご心配をおかけしてしまいましたが、大勢の方に支えられ、温かいアドバイスも沢山頂き、ツアーを無事終える事ができました。とても温かいチームの皆さん、本当に有難うございました。これからもトレーニングを頑張って、安心して参加できる体力をつけたいと願っております。
夏山は初めてで、猛暑の中どうなる事かと心配でしたが、林道がこんなにも涼しく快適だとは、驚くばかりでした!
渓流沿いの散策コースは最高ですね。せせらぎの音を聞きたくて、友人を誘ってまた是非訪れたいと思いました。
(N.U)
コース記録
電車:東京7:29→御嶽8:59 バス:御岳駅前9:12→ケーブル下9:22 ケーブルカー:滝本9:46→御岳山9:52
歩行:御岳山駅10:00→レンゲショウマ群生地10:20→ビジターセンター10:40→御嶽神社11:10→11:50ロックガーデン入り口(昼食)12:30→ロックガーデン終点(東や)13:20→長尾平展望台14:00→14:40御岳山駅
ケーブルカー:御岳山14:58→滝本15:04 バス:ケーブル下15:10→御岳駅前15:20
電車:御嶽15:28→東京16:49