夏山の充実感と苦しさを反芻 年来の思いを遂げる

 

乗鞍岳 3026m  202583()4日(月)


幾通りの山がある。憧れの山、ちょっと出かけてみるにちょうどいい山、山よりも山頂からあの花を見たさに行く山、登るのではなく見るだけと決めている山。まだある。いつか行こうとずっと温めている山。そう乗鞍岳がそれなのである。3000mを超えて日本で20番目の標高を誇りながら、2700mほどの高みにバス停がある、アルプス級の360度の眺望を楽しめ、お花畑のおまけ付きという、とっておきの山というわけだ。「いつか行こう、いつでも行ける。そろそろ行こうか。」蘊蓄を傾け、アクセスからコース取りまで丹念に〝研究〟を重ねて実現にこぎつけた。

今回参加した面々も、そんな雰囲気を感じ取っていたのではないか、それはそれでよしと、午前7時新宿発の「あずさ」が入線する前の620には9番線ホームで待機した。総勢16人。まずは乗鞍岳の麓に広がる前泊地の高原で足慣らしと高度順化を兼ねて4キロほどのシラカバ、ダケカンバ、シラビソの森を散策する。バスで休暇村乗鞍高原まで上がり、そこから宿がある高原観光センターに向けてとって返す。このコースにすれば、翌日への足の負担がほとんどない。

高原情緒をたたえた静かな湖面が広がる牛留池の東屋で、しばし談笑しながらお昼タイムを楽しむ。乗鞍高原の真ん中にある景勝地で旅行雑誌にも良く掲載されるスポットだ。そして「静」から「動」へ。少し歩くと、横幅8mの大きな瀑布、善五郎の滝が木立の合間から顔をのぞかせる。ややきつい急な柵付きの階段を降りる。真正面に20mの落差がある大きな滝を真正面に捉える。轟音とともに水しぶきのまさしく洗礼だ。晴れ渡った日は煌めく日差しが虹を作るという。 

登頂樹林帯の道の分岐点には、熊よけのための鉄パイプが木からぶら下がり、通る人がたたくと金属音が周辺に響き渡る仕組みになっている。時節柄、思わず周辺の藪の茂みの動きを警戒してしまう。歩きやすい整備された木漏れ日の道が続く。ひとしきり歩いて宿に到着すると、白濁の天然温泉と美味しい料理が待っていてくれる。

二日目は朝一番午前7時発の乗鞍観光センターから乗鞍岳登山口の畳平までのシャトルバスに乗り込む。予約制で3台運行の1号車だ。高低差1200mほどの山肌を巻いて走るバスの車窓からはダイナミックな山容を眺めることが出来る。大きな乗鞍岳の威容が青空をバックに雄大そのものだ。九十九折りの道はマイカーは通行禁止で、行き交う車は主に登山客を乗せたアルピコバスだけだ。定時ごとに複数のバスが連なって畳平を目指して上がってくる。 

バスは午前8時前に畳平のバス停へ。広い駐車場には、すでに岐阜県から上がってきた濃尾バスも見える。バス道路は長野県側をエコーライン、岐阜県側をスカイラインと呼ぶ。土日になるとバス便はさらに増発される。乗鞍岳山頂近くの登山道に登山者があふれて渋滞を引き起こすのが分かる。今回は月曜なので、そこまでの人の混雑ではないが、それでも肩の小屋からの本格的な山道には登る人、下山してくる人がひっきりなしであちこちで交錯する。

肩の小屋で休憩を取った後、いよいよ本格登山開始となる。道はそれまでとは違い、大きな石ころがゴロゴロ、岩の塊が道を塞ぎ、下山時には苦労しそうなガレ場、ザレ場と呼ばれる滑りやすい粒状の小石が多く、足の運びに注意が必要だ。ひたすら登り続けること小一時間で頂上小屋が現れる。お守りなどお土産ものが並んでいる。後ろからもどんどん登山者が上がって来るので、ここは早く山頂へと向かうしかない。

しかし、鞍部にさしかかったところで風が急に強まり、しかも冷え込みも尋常ではない。こんなところでザックを開けてウインドブレーカーを取り出したくないが、あまりにも風が冷たいのでこのままでは低体温症の危険もあるので、ブレーカーを羽織ることにした(この後、すぐに暑くなり結局すぐに脱ぐことになった)。

牛留池

後ろから押されるように人がどんどん上がってくる、一方岩の間のわずかな隙間が通り道となっていて道を譲り合う場面もある。「3000mの山は決して侮れないぞ。侮るまいぞ」ー山頂までの間、こんな思いを強くしながら、10時半前にようやく山頂の標識にたどり着くことが出来た。

案の定。山頂は標柱をはさんで記念撮影する人で混雑している。とてもゆっくり出来ない。後から来る登山者のため場所を譲らざるをえず、山座同定もそこそこに地図を取り出す余裕もなく下山を開始した。肩の小屋まで一気に下る。仲間とも合流して、お昼過ぎ、出発点の畳平まで戻る。

帰り道、乗鞍高原観光センター近くの日帰り温泉「湯けむり館」で汗を流してビールのジョッキを干したところで、ようやく人心地がついた。湯けむり館からは再び乗鞍高原観光センターからの路線バスに乗り新島々に向かうが、バスから電車に乗り継いだ新島々駅では、炎天下での長い行列が待っていた。逃げ場がない危険な暑さの中に放り込まれたようで、これには参った。

とまれ、今年も何とか夏山を踏破した後の達成感に浸ることが出来た。

G



     <参加者のひと言> 

 

標高差も大した事もなく、まあ楽に登れると思っていましたが、実際はほぼゆるみのない登りの山道でした(ああ、しんど)

でも、高度のある山の景色は最高でした

帰路はバス、電車と爆睡で、夢遊病者のような状態で家につきました

もうキツい山はやめようと思うのですが一晩経つとまた行きたくなるのはやはり病気かな?

(アンビ)

乗鞍岳には二度目の登頂になりましたが、今回は前回に比べてかなり苦労をしました。

それでも天候に恵まれ、爽やかな風に吹かれの山登りは最高での気分でした。また大勢の仲間たちと一緒に上る山はこれほど楽しいものはありません。

S

自分は去年7月立山の登山依頼で今回最高峰の剣ヶ峰は初めての挑戦でした。

途中心も身体も厳しい状態でしたが頂上に到着した時のイメージを描きながら気合を入れて一歩一歩前進
して素晴らしいお天気にも恵まれ頂上に到達した時の

心と身体の達成感は最高でした。

本当に久しぶりの感動の気分を味わう事が出来ました。

リーダーの大野様、参加の皆さん本当にありがとうございました。

(タダミツ)

12日の日程で初めての乗鞍岳挑戦。3000m級の山行は少しの登りでも息が切れ、ひたすら一歩一歩進むだけで精一杯、自分の体力不足を痛感しました。

しかし、東京は36℃、松本市が35℃の猛暑日に山頂は17℃、真夏の山行は高い山が最高です。

そのうえ高山植物が花盛り、高山植物の女王コマクサを筆頭にイワギキョウ、イワツメクサ、ヨツバシオガマ、ウサギギク等が咲き乱れチングルマにいたっては

花と綿毛の両方を見ることが出来ました。リーダーはじめ皆さん本当にありがとうございました。

(W)

むか~し、昔。ロードレースバイクを買ってもらった嬉しさが募って、手当たり次第にレースにエントリーした。乗鞍岳も旧称「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」現「乗鞍ヒルクライム」に三度参戦。

今回はもがきあがいた末にたどり着く地点まではバスが代わってくれるので、さほど手こずることもあるまいと考えた。

さらに、私は乗鞍岳そのものに登頂したことが一度もなかったのに改めて下調べをせずとも「バス送迎付きお手軽3,000m体験プラン」だろうと想定してなめてかかってしまった。

ガレ場に岩場、「高山病」恐るべし。富士登山で幾度かみてきたが、続々と登る体調を整え、高度順応に時間を割かないと登頂の成否に大きく左右する。メンバーのサポートに回ったこともあるが、あと僅かの踏み代を残しての撤退は本人はもとより、私もやはり悔しい。またの「乗鞍岳」計画を望みたい。

年々暑くなる夏、アルプスでの夏山登山は外したくないが、事前の調査、準備、体調管理は怠れない!

(ヤマジジイ)

乗鞍岳、素晴らしい景色に感動の連続でした。いろいろな高山植物も咲いていて感激しました。やっぱり山はいいなぁ、

自然って素晴らしいなぁ、来られてよかったなぁ、と心から思いました。

宿の食事も美味しく、乳白色の温泉も最高でした。リーダーの大野さん、皆さんに感謝です。ありがとうございました。

Y

反省するばかりの定番ルート

帰りの松本駅では、駅前商店一帯をうろうろしていた。

今回も前回と同じ反省でした、事前に調べておけば、うまく時間を使えたが。

駅前広場の暑い日射しをたっぷり味わってしまった。

乗鞍岳のお花畑で一句

 名はあれど

   あれよこれよの

    やまの花

     2025.08.04

K

天候に恵まれて、楽しい2日を過ごせました。

剣ヶ峰の山頂は小さく登山者であふれ、ゆっくり山頂の景色など眺められなかった事が残念でした。

リーダーさん ありがとうございます。

S.A

楽しみにしていた日が来ました。体調万全とはいかないけど、行ける所まで行く、下山もありだから。

畳平からみた景色は山、山、山、それぞれのコントラストにみとれてしまいました

山から降りて温泉!白く濁った熱くもなく丁度いい温度でした。皆さんの励ましを受け、どうにか無事に帰ってきました。ありがとうございました。

mk

23日前から3000メートルからの眺めを想像しながら  ザックの中身を入れ替えばかりしていました。

濃い緑の山の中を休暇村までバスが何カ所もダム湖を見せながら走って行きます。善五郎滝の水しぶき 気持ち良い~。暑さが吹っ飛ぶ。

旅館の夕食も美味しく温泉も硫黄の足下ヌルリで気持ちの良いお湯でした。

写真でしか見た事がない畳平バスセンターに着き 真青な空と白い雲。まず空が広い広い。

下山初めて見る雪渓や高山植物のお花畑。3026メートルの剣が峰からの眺めは目に焼き付けておこう。

帰りのあずさの中で 行き帰りを思い出しながら 忘れられない 夏がぎゅぎゅっと集まった「展望と花の山旅」の楽しい2日間でした。

大野リーダー 本当にありがとうございました。皆さんお世話になりました。

ありがとうございました。

YS

ようやく体が回復したので私が歩ける最後のアルプスということで望んだ乗鞍岳行きでした。

自然のミストを浴びながら豪快な善五郎の滝を見上げた後、白樺の森を抜けて宿に着く。古い宿の外観からは想像できない美味しい夕食と朝食で満足でした。

風呂はまた古びた木の風呂で床に咲いた湯の花を踏まないように滑らぬように白濁の湯船につかりのんびり手足を伸ばす。

翌日は春の雪の壁で有名なエコーラインを畳平までバスで行く。

肩の小屋までは工事のトラックも通る平坦な道を小さくなった雪渓と青い池や雄大な山々を眺めながら道端に咲く高山植物を愛でながら余裕の歩き。

昨年の夏山で仕入れた花の名前はすでに忘却の彼方で、あれだこれだが結局はガイドブックで調べてようやく落ち着く。

登りばかりのゴロゴロ石の剣が峰までの登山道は子供から年寄りまでの数珠つなぎだ。石の上に乗って滑らないようにあるくので疲れる。

ようやく着いた神社のある頂上は写真を撮るひとでごった返していてゆっくり景色を眺める余裕もなく下山した。

下りはおまけにコケてまだももが痛い。天気に恵まれてすばらしい仲間たちとの久しぶりの山行でした。

(手拍子足拍子)

山登りもう無理かなと何となく思い始めていました。

乗鞍岳の計画書で出来れば参加したいと心に火が付きました。

無理なら畳平まで、ピストンだから登れるところまでとの思いでの参加でした。

乗鞍高原の善五郎の滝でリフレッシュして、翌日畳平に着くと雄大な山々が迎えてくれ、とても嬉しく背中を押してくれてるようでした。

最高のお天気も見方して、何とか登頂出来ました。自分を褒めてあげたいと思いました。

緻密な計画書で盛り沢山で、楽しいとても幸せな二日でした。

リーダーの大野さんには、感謝しております。

本当に有難うございました。

MU)

てっぺんまでは無理にしても畳平までならバスが運んでくれる! そこまでなら私も参加できるかも!

雲上の世界に再び身を浸せるかもしれないだけで、心がワクワク踊った。

果たして20年振りの乗鞍岳は絵画のように美しい姿だった。

剣ヶ峰を目指す15名の皆さんをお見送りしてから、畳平から標高60m上の片道15分という魔王岳に登った。

足元にはコマクサやイワギキョウが咲いていて、遊び遊び1時間かけて眺望を楽しんだ。

帰りのバスを待つ眼下の鶴池、連なる山並み、剣ヶ峰が向こうにくっきりと見える。今頃皆さんは力を振り絞って登っているのだろうな。頑張れ、頑張れ。

これ以上はありませんという程の上天気の中、お花畑の木道を雲を眼下に周遊し、思い出の乗鞍岳は20年前の山容のまま優しく豊かに迎え容れてくれた。

緻密な計画と膨大な実行力でこの山行を完璧に導いてくれた大野リーダーさんには心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

素晴らしい仲間に恵まれて本当にしあわせです。

T

期待と緊張を胸に臨んだ2度目の夏山でした。


一日目の善五郎滝には滝しぶきと流れに涼をもらって大いに癒されました。

お宿では、風情ある湯殿で溢れんばかりの白濁のお湯に浸かり、また夕食には、地もののニジマスや山菜を始めご馳走をたくさん頂きました。

二日目、いよいよ剣ヶ峰山頂を目指しワクワクドキドキ畳平を出発。美しい景色は目とこころのご馳走。肩の小屋からは足元に注意を払いながら歩を進めて行きました。

しかし、山頂まであと一歩という所で3000Мの洗礼を受け、やむなくリタイアしたのが残念でした。いつかリベンジを!!

この時サポートして頂いたKさん、ありがとうございました。

今回は大勢の参加者で賑やかでしたが、大野リーダーにはそれ故、計画当初より多くのご配慮頂いたことと心より感謝申し上げます。

お世話になった皆さんもありがとうございました。

(とむちゃん)

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乗鞍高原、乗鞍岳写真特集

コース記録

8/3

新宿7:00=(JR特急あずさ1号)=9:38松本⑦番線ホーム10:10=(松本電鉄)=10:40新島々10:50=(バス)=11:59休暇村乗鞍高原…1220牛留池…1340善五郎の滝乗鞍高原観光センター4:30旅館金山(泊)


(8/4)

6:00朝食 乗鞍高原観光センター7:00=(バス)=7:50畳平バスターミナル

畳平8:10…850肩の小屋9:0510:20剣ヶ峰10:30…11:30肩の小屋1205… 12:45畳平バスターミナル13:05=(バス)=13:55乗鞍高原観光センター(湯けむり館入浴)
16:06=(バス)=17:09新島々17:22=(松本電鉄)=17:51松本番線ホーム18:40=(JR特急あずさ54号)=21:14新宿(解散) 


 

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