錦の渓谷に癒やされ、古の往還を忍ぶ晩秋の山旅
奥多摩むかしみち 260m 2023年11月25日(土)
コロナ禍3年越しの懸案を果たすべく、紅葉が期待できる時候、都下奥多摩に向かう。集合場所は喧噪の駅頭がうごめき始める朝まだき、新宿発の「ホリデー快速おくたま1号」だ。奥多摩の山といえばホリデー特快にお世話になってきた。残念なことに、今春のダイヤ改正で奥多摩駅直行は姿を消し、青梅乗換えとなってしまったが、午前8時半前に降り立った終点奥多摩駅は、ここを起点として四方の山を目指す多くの登山者で賑わっていた。
早速、足慣らしを兼ねて登山口を目指す。奥氷川神社の脇を抜け羽黒坂の急登を前に、準備体操で身体をほぐした後、「奥多摩むかしみち」をたどる。旧青梅街道の一部、地元の生活道路として、また交易ルートとして利用されてきた多摩川沿いの古道だ。小河内ダムに資材を運んだトロッコの廃線線路が残り、お地蔵さんや不動尊、石仏が随所に見られ、地域に根ざした歴史の道であることをうかがわせる。
縁結び地蔵、道祖神に混じって、変わったところでは耳神様、虫歯地蔵もある。その昔、耳や歯が痛くなってもすぐに医者に診てもらうことが出来なかった奥地ゆえ、神仏にすがるしかなかったためらしい。
強い寒気で冷え込むことを予想していたが、幸い日差しがあり、ゆるやかな道を談笑しながら登っていくのにちょうどいい。重ね着が暑くなる。道の両脇には所々、住居跡が見られ、そして何よりも綺麗なトイレが整備されているのに感心する。近年増え始めるハイカーへの配慮だろう。途中、白鬚神社の社殿に立ち寄るため石段を登り詰めると、白鬚の大岩と言われる巨岩が今にもその社殿を押しつぶすような形でのしかかっている。なかなか見られない迫力ある光景だ。
やがて「いろは楓の巨樹」との標識が見え始めると、これまでとはスケールが異なる大きな紅葉の樹木が目を奪う。眼下100m以上はあろうか、遙か下には多摩川が流れ、両側の崖からは多くの彩りが立ち上がり、折からの陽光を受けて真っ赤な紅葉がキラキラと照り映える。何と贅沢な景色だろうか。緑や黄色の木立の中に、ひときわ萌える朱色、赤色の木々が圧倒的な自然の造形美を作り上げている。小河内ダムへと向かう我々と、逆方向から奥多摩駅に向かうハイカーの集団が山道にかかる紅葉のトンネルで交錯する。
しばらく行くと多摩川にかかる大きな吊り橋に出くわす。向こう岸まで50mほどだろうか。高度感たっぷりの吊り橋が、紅葉真っ盛りの渓谷をまたぐ。揺れる際の緊張感も半端ない。「渡るのは2人まで」との注意書きがあるものの、向こうから、こっちから往来すると、どうカウントしたらいいのか。おっかなびっくり、途切れなく行き来する。
歩き始めてから2時間半。この先の急登を前に小休止だ。思い思いに道の両側に座り小腹を満たした後、浅間神社方向へと急な切り返しの坂を進む。紅葉のトンネルを抜け、片側が切れ落ちた狭い山道を慎重に進む。秋冬には落ち葉が積もり滑りやすいうえに落石が多い場所だ。
浅間神社を巻いて、金網に囲まれた畑や民家の脇を通り過ぎると、もう小河内ダムが木々の合間から見えてくる。ダムはすぐそこだ。湖面が光輝いている。ようやく舗装道の下り坂に出ると、樹木の上に大きな蜂の巣=写真左下=が見える。やがて車道に飛び出し、目指す奥多摩湖、つまりゴールの小河内ダムだ。
広いダムが一望出来る四角いテーブルに一堂囲むように座り、待ちに待った昼食タイムをゆっくりと楽しんだ。空気も心地よい。食後はそれぞれ広いダム堤を散策したり、「水と緑のふれあい館」の展示物を鑑賞したり、展望塔に上がったりと思い思いに過ごし、やがて到着した駅行きのバスに乗車した。何よりも天気に恵まれ、素晴らしい紅葉に出会い、晩秋の渓谷沿いの山旅は、また一つ記憶に残るいい思い出となった。
(G)
<参加者のひと言>
★朝はまだ真っ暗な中、家を出て到着した奥多摩では寒くて凍えた。それでも素晴らしく澄み渡った空と空気が気持ち良い。
落ち葉で埋め尽くされたむかし道は時々アスファルトに変わるけど、歩を進め高度か上がる程に紅葉が鮮やかに。真っ赤なもみじに歓声をあげる。
後半の一辺倒の登りは、昼食前も相まって足がガクガクブルブル‥
甘くみていてスニーカーで参加した事を後悔。
奥多摩湖畔のおにぎりが美味しかった。とてもリフレッシュ出来ました。
(e-jan)
★天気に恵まれ、短い秋を満喫しました。奥多摩湖に向かうむかし道の紅葉は美しかったです。奥多摩湖の湖畔で昼食をとり、のんびりとした時間を過ごしました。
リーダーとメンバーの皆さん、お世話になりました。
(miyakumi)
★天候にも恵まれ、個人的には数年ぶりの見事な紅葉を満喫出来ました。
奥多摩も御前山以来で、その頃にはまだ山野井さんもこの地で暮らしていたのだなと思い出しました。
近くには熊出没の看板もあり、里山にも現れる熊に遭遇する事なく、今年の山行を終える事が出来てなによりです。
リーダーや皆さん、楽しい時間をありがとうございました。
(M)
★早起きして最寄りの駅の2番電車に乗るべくまだ薄暗い中、自宅を出発。実はこの電車に乗るのはバス山行時に利用して以来で本当に久しぶり。今日のコースは距離は長かったが、巨大岩につぶされそうな白髭神社や吊り橋からの景色、見事な「いろは楓」など随所に見どころ満載でした。晩秋の奥多摩の紅葉を堪能した一日でした。(白毛門)
★日出が遅くなっているとは言え、夜明け前に家を出発するのは本当に久しぶり。空は晴れていて、東京といえども星が多く見え、金星が一 段と輝いていました。
奥多摩の天気は良く、空気は冷たかったですが、歩き始めるとすぐあつくなり、最初の休憩で上着を脱いでしまいました。奥多摩むかしみちはどこも紅葉が真盛りで、絶妙なタイミングでの山行でした。途中に槐(さいかち)の巨樹があったり(小室さんより実のさやを水に漬けて、石鹸として使っていたと解説があり)、樹齢200年のいろは楓の巨樹(紅葉真盛り)があったりと楽しみました。反省会のあとの帰り道では、駅のホームから月が綺麗に見え、すぐ横に木星が輝いていました。
(W)
★幾度か訪れたことがある見所満載のコンパクトで大好きなコースだ。
動き出せば身体がホンワカして日向では汗ばむほどの絶好の快適山歩き日和。
紅葉狩りとしての時期もジャストミート。数々の赤、黃の連写を堪能した。
ゴール近くの最高地点のピーカン晴天の南斜面特等席からは小河内ダムと奥多摩湖の煌めく水面が、遠くは三頭山、大岳山、近くに惣岳山、御前山をバックに現れ、澄んだ空気と遠望を味わった。
私の生まれ育った所は見渡す限り田んぼで環境景観が全く違うのだが、ここと同じサイカチの大木が在り、バァチャンがこの豆の乾燥した鞘をお湯で柔らかくなるまで、揉みしだいて衣類の洗濯に使っていた記憶がある。
故郷の家裏の小川では、灰汁(アク)で洗う釜のこびりついた飯に小魚が群がり、布巾で容易に掬い取れたものだ。
ゴールの水根にある、半分くらいに伐られた桑の木には、かつては沢山の桑の実が付いていて、むさぼり食べたことがある。随所に見られる神社や観音様も故郷を想い起こされる佇まいで、ノスタルジアに耽ってしまった。
シニア向けの唱歌教室でも探ってみようか。
(ヤマジジイ)
★奥多摩の紅葉が感じられ、もみじが赤く空が青く冬らしい、きれいな景色が広がっていた。楽しい1日を過ごすことができました。ありがとうございます。
(S.A)
★「自宅からの交通の便があまり良くないので久々に来た奥多摩でしたが思いがけない真っ青な空と紅葉した山並みはやはり美しい。真っ赤な紅葉の大きな木や古いお地蔵さん、道祖神、吊り橋などが次から次へと現われる「むかし道」は楽しい山行だった。」
(手拍子足拍子)
★楽しみにしていた奥多摩のむかしみち、深まる秋を感じながらおよそ10キロの道のり。昔の人のくらしに想いを馳せながら、山の斜面で生活する方とも言葉を交わし、現在の自分の暮らしの堕落ぶりを反省しました。一瞬ですが。
きつい登りもありましたが、艶やかな大樹の紅葉に元気をもらいながら、終始のどかな歴史散歩を楽しみました。
リーダー様はじめみなさんに今回も感謝です。
(とむちゃん)
★きれいな青空に暖かい日差し、山は赤、黄色、みどりに彩られた奥多摩で、とても東京とは思えないほど空気がキレイで静かで素晴らしい所でした。
皆さんに助けていただき楽しい山歩きができて楽しかったです。リーダー、皆さんありがとうございました。
(mk)
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コース記録
新宿6:45=(JR中央線特快ホリデー快速おくたま1号青梅行き)=7:46青梅で快速おくたま81号奥多摩行きに乗換え7:49=8:24奥多摩8:40…8:50むかしみち入口…9:05槐木(さいかちぎ)休憩所…9:50白鬚神社…10:30しだくら橋…青目立不動尊…12:45奥多摩湖(昼食)
奥多摩湖バス停14:23=(バス)=奥多摩湖駅
奥多摩湖14:48=青梅線=15:42青梅発特快で新宿着16:35