湿原渡る風心地よく、「夏の思い出の1ページ」つつがなく
尾瀬沼 標高差120m 2023年7月15日(土)~16日(日)
放してくれそうな期待も高まった山行3日前、Hさんから電話が入る。体調不安が募り、参加を見合せたい旨、代役には折から入会申請中の娘さんNさんを、というご相談だった。代表への連絡を前提に、チケットと計画書の受け渡しをお願いした。
初日、東武浅草から3人、北千住から9人が特急リバティに乗車、全員無事合流し、一路尾瀬に向かった。
今回のサブリーダーを申し出ていただいたストレッチマンI君が乗り継ぎのバス代金をテキパキ集金。おかげさまで往復切符購入がスムーズに進み、また情報通のS君誘導のもと、尾瀬口駅前バス停に整列し、乗車。沼山峠には定刻で到着できた。
昼食もそこそこに休憩所でまたもやサブリーダーの迅速な動きにより、宿泊費、翌日の弁当代を集金。トランジットタイムに気を削がれることなく、お二人に助けられて、宿泊手続きの名簿提出等々含め、滞りなく進行できた。
パラつく雨の中、予定通り登山口をあとにした。雨の為、木道も滑りやすく、Tさんが滑ってしまった。実は経年劣化により、靴底が剥がれてしまっていたのだ。Tさんは思い出の地になんとか立ちたいとの強い思いもあり、翌日は宿から登山口まで引き返すことを申し出られ、靴底の状態を再確認して続行することにした。
展望台でレインウェアを脱ぎ、衣類調整。蒸れから解放されてスッキリ。樹間から尾瀬沼が垣間見えると俄然期待も高まった。足取りも軽やかにリズムよくステップを踏む。釣られるように森の小鳥達のさえずりが冴え渡り、輪唱するように響いた。
やがて森を外れて涼風に頬を撫でられる頃に黄色の花が点々と出現。そう、「ニッコウキスゲ」の大江湿原だ。半世紀前の相当おぼろげな印象と比べると、ずいぶん花数が少なく、多少失望も感じてしまったのだが、最近の鹿による食害、とりわけ今年は霜害もあったらしく、近年毎年のように減っているのだそう。また私の組んだ日程も少し早めで、もう少し待てば、また違った様相だったかもしれない。
明日の一周ルートと合流する道沿いにある尾瀬沼のシンボルツリー「三本カラマツ」前で集合写真撮影。続けて長蔵小屋前の燧ヶ岳を山裾から望めるビューポイントで撮影した。さらに水場では冷えた湧水を飲む。生き返った冴えた頭でビジターセンターで各自自習に励む。S君お薦めの「逆さ燧」撮影ポイント到着。童心に返った迷カメラマンT君の掛け声の爆笑フラッシュ炸裂で大笑いした。皆の作り笑顔をどう崩壊させたかはじっくりご検証ください。
翌朝の標高1,680mの宿付近の気温は14度、重ね着必須の肌寒さだ。宿から3分の「逆さ燧」観賞ポイントには前日夕食後の黄昏時に夕焼け雲を被った燧ヶ岳を、そして早朝の水面上の朝靄を山裾に纏った燧ヶ岳の姿を二度出向いた。この山旅の最上級の見せ場だろう。
ストレッチ後の二日目のスタートは、一旦、観賞ポイントに戻って写真撮影。その後、沼山峠での再会を期して、ひとまずTさんとお別れした。ここまではガイドブック頼りでなんとかリードしてきたが、これからのコース攻略を経験豊富なS君に委ね、群舞するトンボのエールを受けて出発した。
ビジターセンターでの情報通り、間もなくぬかるみと木の根、アップダウンの修行道と化した難路が間断なく続き、湿原の中の沼尻休憩所にたどり着いたもののトイレが閉鎖されており、使用不可。照りつけ始めた太陽と人混みを避けるべく、アザミ湿原を経て森に逃げ込んだ。そして昨日の三本カラマツに到着。当初予定の沼尻トイレ休憩ができず、やむなくビジターセンター前のトイレを利用することにした。ただ、Tさんとは計画書の定刻でのゴールを約束していたため、通信連絡手段がないこともあって、しんがりを務めていた韋駄天のH君に伝令として先にゴール地点に向かってもらうことにした。
10名のパーティはトイレ、給水を済ませて昨日来たコースを辿る。昨日の下り坂が今日は登り坂で、距離感の相違を感じ始めた頃にやっと展望台に着いた。ここでS君から先頭ゴールの栄誉を譲る旨の言があり、トップを交代。計画ゴールタイムをクリアしてTさんと再会。遠慮なく花を持たせてもらった。
昼食後のバス乗車はさておき、次に控えるお風呂、飲食タイムの確保が際どかったのだが、計画段階からの会津バスさんとの折衝時に出した山遊浪慢会の名前と行動計画を控えていただいていた為、定刻前に、しかも立ち寄り湯までの貸し切り運行をスムーズに実現できた。そして、そそくさと入浴を済ませてラストオーダーのタイムアップ間近の食堂に駆け込む。思い思いにビール、蕎麦を楽しみ、土産物を買い込み、車中に収まった。
いろいろあったが計画段階から情報提供など含めて、たくさんのご協力をいただき、おかげさまで楽しい夏を過ごさせていただきました。急遽参加した新人のNさんもすっかり溶け込み、同行女性陣のおしゃべりにも馴染んだ様子で一安心。(余談ですが、東武鉄道スペーシアXも15日デビュー)宴会テイナーのオーデココロンさんも盛り上げ役、ありがとうございました。
今回の山旅は皆さんのご協力とご助力によってなし得たものです。感謝申し上げます。ありがとうございました。
(K.K)
<参加者のひと言>
★大江湿原全体がニッコウキスゲの黄色い花で埋め尽くされる景色を期待していましたが、ちょっと当てが外れました。ヒオウギアヤメもほとんど見られず、尾瀬沼周辺の湿原では花がほとんどなく華やかさに欠けていました。その原因は今季、シカの食害に加え、7月の遅霜の影響だそうです。幸い天候に恵まれ、尾瀬沼越しの燧ケ岳の雄姿を二日間にわたって見ることができ、また宿泊小屋の食事やスタッフの親切な対応もあり、満足な尾瀬沼周遊の旅でした。リーダの小室さん、ありがとうございました。
(白毛門)
★尾瀬沼と言えば水芭蕉と思っていた私でしたが、水芭蕉ではなく、日光キスゲが可愛らしく咲いていました。沼一周は、木道で歩きやすいのですが、雨が降った後は転倒注意!
雑談の中で、薩摩おごじょ と言う言葉が出た。私の知ってる薩摩の人は、芯がありすぎで、真っ直ぐで、時に突っ走る人が多いと言いました。そしたら、Oさんはそんな事ない!優しくて、美人で気立てがいいよ! と。笑顔で答えてくれた。
楽しかった尾瀬沼、リーダーさん他の皆さんありがとうございます。
(M.K)
★通常なら梅雨の最中なのに真夏の尾瀬を先取りした気分で尾瀬を満喫。真っ青な空と溢れる緑に身を任せ尾瀬の自然を楽しんできました 。リーダーお疲れ様でした。
(S)
★ポツポツと雨が降る沼山峠のバス停を出発するとすぐに石がゴロゴロした道になるが、これは「ハイヒール返し」と呼ばれる石畳で、ハイヒールの観光客の警告の意味もあると案内書に書いてあった。森の中を抜けるとニッコウキスゲが黄色に染め上げた大江湿原に出会えると期待していたが今年は鹿の被害や霜の影響であまり咲いていない。でも湿原を渡る風が心地よい。朝早くみんなと尾瀬沼のほとりまで行き水面の朝霧と大きな燧ケ岳を心ゆくまで堪能。朝日の昇る中で刻々と変わって行く雲の色と形をみんなとあれこれ言いながら眺めたのも楽しい思い出です。リーダーお疲れ様。
(手拍子足拍子)
★憧れの尾瀬。
お天気も徐々に回復し、素晴らしい景色を楽しむことができました。
胸いっぱいに吸い込んだ空気は爽やかで、出発前日まで熱中症気味だったこともすっかり忘れました。
大江湿原の木道をのんびりと歩きながら、何故か話題は「薩摩おごじょ」に。
メンバーのYさんも芯の通った強い女性だと誰かが言えば、うちのワイフも「薩摩おごじょ」だけど、それはそれは優しい女性だよと割入ってくるGさん。ごちそうさまでしたー(*^^*)
ニッコウキスゲには少し早かったようですが、早朝の尾瀬沼は朝霧が立ちこめ、得も言われぬ幻想的な光景を見ることができて、それだけで来た甲斐があったと思えるほどでした。
新メンバーの松浦さんはフレンドリーで、いつも明るい安村、いや、木村さんもご一緒で楽しさUP!
小室リーダーの細やかな気遣いと、支える皆さんのチームワークで今回も楽しい山行でした。
ほんっとに、いつもありがとうございます!!
(とむちゃん)
★尾瀬はもっと楽に歩けるところかと思っていたら、私にとっては大変でした。でも、一日中ウグイスの声を聞きながら歩けて幸せでした。リーダー、そして仲間の皆さん、ありがとうございました。
(F.K)
★峠からの樹林帯を抜けると、広大な湿原が突然目の前に現れた。開放感に満ちたこの瞬間こそが湿原歩きの醍醐味だ。7月の太陽は焼け付くように照りつけるが、さほどきつく感じないのは、湿地帯をそよぐ風のおかげだろう。木道が緑のカーペットの合間を縫うように走り、青い空にトンボが輪舞し、ニッコウキスゲが彩りを添える。湖畔の宿でゆっくりと過ごす時間は、幾度来てもいい。
(G)
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初日:
東武鉄道浅草6:30→北千住6:43→会津高原尾瀬口9:23 会津バス会津高原尾瀬口駅前9:40→尾瀬沼山峠バス停11:40(昼食)沼山峠登山口12:30⇒沼山峠展望台13:10⇒東岸分岐14:20⇒ビジターセンター14:40⇒「逆さ燧」ビューポイント15:20⇒尾瀬沼山荘15:40
2日目:
尾瀬沼山荘7:30⇒大清水平分岐8:10⇒沼尻9:00⇒あざみ湿原9:45⇒東岸分岐10:00⇒ビジターセンター10:10⇒小淵沢田代分岐10:45⇒沼山峠展望台11:15⇒沼山峠バス停11:40(昼食) 沼山峠バス停12:40→立ち寄り湯夢の湯14:20⇒会津高原尾瀬口駅前食堂憩いの家15:20⇒会津高原尾瀬口駅18:06→北千住20:51→浅草21:05