錦繍に彩られた越後の名山で、スリル満点の鎖場にも挑む
八海山・地蔵岳 1707m 2011年10月8日(土)〜9日(日)
越後三山のひとつ八海山は古くから山岳信仰の山として有名だが、その峰のひとつ地蔵岳が大河ドラマ「天地人」の迫力あるオープニングのロケ地となったことで、近年ハイカーの人気を集めている。
紅葉の季節、越後路への初めての1泊バスハイクだ。いつものように、バス乗車場にそれぞれ集合。3連休の初日とあって高速道路の渋滞をなるべく避けるべく、岡田運転士の提案により一般道を経由して、練馬インターから関越高速に入線することにした。前々週の尾瀬のときより、1時間早く出たこともあり練馬ICの3車線道の連絡もスムーズで、意外と早く高坂SAに着くことができた。当初は谷川岳の一の倉沢衝立ルンゼに立ち寄ることを検討したが、紅葉シーズンの連休のため大変な混雑となることを考え、途中下車は湯沢インター近くの大源太湖の周遊の散策に変更することとした。トイレ休憩のため立ち寄った赤城SAでは、沼田の佐山産のりんごが無料配布されており、わが浪漫会のメンバーも美味しそうなりんごを頂くことができた。
大源太湖の源流は大源太山という1596mの美しい姿の山であり、林道終点が標高600mまでは車の出入りが可能な地であり、四角い木材を指す方言の「ゲンタ」から名付けられた山容で「東洋のマッターホルン」とも呼ばれているとのことだ。湖の周りを散歩後、希望者はボート遊びに興ずることになり、急きょ抽選で組み合わせを作り、3人乗りで3組が決定した。ある組では大胆にも湖の上で漕ぎ手の交代があり、またある組は、なぜか湖のフチばかりを漕ぎまわるなど、童心に帰ってのボート遊びを楽しんだ。その後、昼食をとり、ゆざわ健康ランドの野菜直売店で種々めいめいが買い物をし、宿泊先の「ペンションわかい」に午後2時過ぎに入った。一休みをした後、明日の下見を兼ねて八海山ロープウェー駅まで行き、ここで全員でパターゴルフ。ワイワイガヤガヤ。小1時間、グリーン上でにぎやかに笑いころげた。
ペンションに戻っての入浴後、早速、ビールで乾杯。6時からの夕食では、再びビールで乾杯。さらに、この「ペンションわかい」を紹介してくれた新潟在住のかつての教え子宮田さんが差し入れてくれた越後の銘酒を皆で堪能した。料理も美味しく、差し入れ、持ち込みのお酒のペースもすこぶる快調。山登りに来ているのか、別の目的できているのかわからないが、とにかく楽しく愉快な第1日。雪中梅、玉乃光、真澄…夜の帳が下りる頃には一升瓶3本(+ビール1ダース)があいていた。
迎えた本番の第2日目。6時45分に朝食。昼食用にコシヒカリの美味しいおむすび弁当を頂き、7時40分前にはロープウェー山麓駅に到着したが、すでに改札口には多くのハイカーが行列。やはり紅葉シーズンだ。8時の第1便に少し遅れての臨時便で山頂駅までは5分余り。準備体操を行い、斉藤さんに先頭をお願いして樹林の登山道に向けて出発した。足元はぬかった滑り易い登山道で、これが八海山の特徴のようだ。雨に降られると、さぞ歩きにくいだろう。木漏れ日の中、時折、樹間から見える越後平野を望みながら歩く。途中、大倉口登山道分岐を左に見て進む。八海山には大倉口、大崎口、城内口の三つの登山道がある。現在では城内口の付近から大崎口の登山道の途中までのロープウェーが主な登山道になり、利用者も多く、従来の登山道は相当荒れているとのことで、我々もこのコースをとった。1時間半ほど歩くと、女人堂だ。昔は、女性はここから先は入山禁止となった。もちろん今は、この先の登山道にも多くの山ガール、元山ガール(?)が闊歩している。
高度を上げていくにつれ、木々の色彩が鮮やかさを増していく。ナナカマドの赤、ダケカンバの黄色、そして緑の木々。まるで錦織り成す世界だ。途中、山肌の草原がまさに草紅葉のハイライトを迎えていた。光に反射してやわらかな質感を醸し出す。思わず、見惚れてしまう。険しい急登、岩場を過ぎ、長い鎖場を通過すると本日の目的地である薬師岳だ。ひとまず、ここでコシヒカリのおにぎり昼食をとることにする。すぐ目の前には千本檜小屋。その向こうには、ポコンと円筒形の地蔵岳がそそりたっているのが視界に飛び込んでくる。時間もあり、天気も良し。ふたをあけてみれば11人がその峻嶮な地蔵岳に向かうことになった。スパッと切れ落ちた崖沿いの道を注意深く進み、長い鎖場を数度通過すると、目の前にあの「天地人」の妻夫木君がすくっと立ち、越後平野を見下ろした地蔵岳の山頂が出てくる。わがグループの某Sさんが後で述懐したところによると、人知れず山頂で妻夫木君のポーズをまねして悦に入ったとか。そのひそやかな決めポーズを見たかったものだ。
十分に紅葉を満喫し、また適度にスリリングな鎖場を経験し、薬師岳、女人堂へと戻る。山頂ロープウェー駅には14時20分に着き、臨時便でも多くの行列を裁ききれないほど人が多い。矢張り紅葉の八海山なのだとつくづく感心した。その後、再び「ペンションわかい」にお邪魔して湯を頂き、全員でビールで乾杯した。帰路の関越道は事故渋滞もあったが、バス車内は終始にぎやかだ。
矢張り楽天的な浪漫会の皆様は楽しくこの登山を終了したことに感謝いたします。(O)
コース記録
第1日目
清澄白河6:30―練馬IC8:10―高坂SA8:55―赤城SA10:10―大源太湖11:00―休憩と周遊:昼食―ゆざわ健康ランド13:30―ペンションわかい14:00
第2日目
出発7:25―ロープウェー8:15―山頂駅8:20―登山開始8:31―女人堂9:45―薬師岳10:55―昼食・地蔵岳往復12:00―女人堂13:5―山頂ロープウェー駅14:20―東京21:30着