強風の中、支え合って懸命の登頂。下山は錦の池塘に癒され、酸ヶ湯で汗流す
八甲田・大岳 1584m 2013年10月11日〜12日
悪天候の中、強風に煽られ、やっとの思いで辿り着いた大岳の山頂、下山道の毛無岱で一面の草紅葉に点在する池塘の眺めに救われた思いがした八甲田の山旅。今回のツアーは初日に奥入瀬渓谷を散策し、千人風呂で有名な酸ヶ湯温泉に宿泊し、2日目に八甲田大岳に登頂、下山時に上下毛無岱の紅葉を楽しむという欲張りな企画をした。
1日目、集合場所は東北新幹線の車内である。東京駅から5人、上野駅から12人が乗車した。座席がバラバラになっていたため、車内で1人1人確認して計17人の参加者の顔ぶれがそろった。10:39「はやて23号」は予定通りに八戸駅に到着、バスの待ち時間30分の間に慌ただしく昼食を済ませ、バスに乗車。曇り空の中バスは奥入瀬渓谷へと向かった。
1時間半程でようやく奥入瀬渓流の入り口焼山に到着、これより渓谷に沿ってバスは走る。しばし車窓からの眺めを楽しんだ後、馬門岩で下車、残念ながら小雨に降られての散策となった。早々雨具を身に着け2時間半あまり、上流に向かってのハイキングとなる。雨のせいか沢の水に多少濁りがあるが深い森を背景に水が滔々と流れ、自然の豊かさを身近に感じさせてくれる素晴らしい眺めが続く。
すぐに奥入瀬の代名詞ともいうべき阿修羅の流れに遭遇、清流が水しぶきを上げて流れる光景は、圧巻である。また至る所で滝の流れに出会い、それぞれにそれらしい名称がつけられているので滝巡りも楽しい。紅葉にはまだ少し早かったものの、最後に現れる銚子大滝の雄大な眺めに圧倒され、奥入瀬の自然溢れる散策に満足して、バスで酸ヶ湯温泉に向かった。
八甲田周辺は既に紅葉に彩られ、車窓からの眺めに歓声が上った。ちょっと早めの到着で、楽しみにしていた温泉に入る。総ヒバ造りの千人風呂は薄暗く、もうもうと湯煙上がりかなり広い。歴史を感じさせる風情に溢れ、ゆったりと入浴ができる。千人は無理でも百人は優に入れそうである。ちょっと熱めの浴槽と温めの浴槽の2つに分かれ、特に男・女の境目もなく混浴である。わが山遊浪漫会の女性陣は9時からの女性専用の時に入浴を楽しんだようである。
2日目、バイキングの朝食に満足し、宿の前に山行には遅めの7:45集合、記念の写真を撮って準備体操をすませる。天気予報では雨あり曇り時々晴れ間ありの複雑天気模様、それでも時折青空が顔を出す中出発である。駐車場の脇から登山道が始まり、すぐに大きな鳥居を潜り抜け、笹が生い茂った道を山へと分け入る。
既に紅葉の始まったブナやダケカンバの林のなかを徐々に登って行く。途中雨が降り出し雨具を装着し、樹林帯を進む。突然視界が開け地獄湯の沢に出ると、あたりに硫黄の臭いが漂う。沢沿いに岩のゴロゴロした道を急登する。沢沿いの道を外れ樹林帯を抜けると、広々とした草地にでる。仙人岱に到着である。しばし休憩を取るが、天候の悪化が予測され、雨具・防寒具の準備をする。
天気が良ければ素晴らしい見晴らしが楽しめた筈だが、周囲は霧に覆われて見通しがきかない。仙人岱を抜けいよいよ大岳の登りに取り付く、岩がゴロゴロして足元の悪い道を登って行く、ハイマツ帯を抜けると森林限界こえ大きな岩が露出した道が山頂まで続く。ここで予想だにしなかった強風に煽られる。周りは大きな岩の塊で登山道が作られているが、強風にさらされて一歩踏み出すのも容易ではない。
撤退も考えたが、気が付いたらそれも容易ではない所まで既に来てしまっていた。何とか互いに支えあって、一歩一歩着実に進む。最後に赤茶けたガレバの斜面を登り切ると、何とか無事に山頂の到着することが出来た。直下の鏡池も見ている余裕も無く、必死の思いでの登頂であった。ともかく写真だけは撮って直ぐに下山することにした。
強風の中、大岳から北に緩やかに下る道を、風に飛ばされないように注意深く降りる。ようやく樹林帯に入り風も遮られ容易に前に進むことが出来る。30分ほどで大岳の避難小屋に到着、やっと一息入れることが出来た。小屋は先客で満員状態、ゆっくり寛ぐことは出来ず最低限の用を済ませ、10分後には出発を余儀なくされた。
暫く歩くと直ぐに樹林帯に入り,風が遮られ容易に先に進むことが出来る。樹林帯を抜けると視界が開け湿原が現れる、上毛無岱である。周囲の山肌は錦に彩られ、湿原は草紅葉に覆われ池塘が点在する様は当に天上の楽園である。気が付いたら雨も上がり風も収まっていた。ほっとしたところで後発のロープウェイ組の二人に合流した。天候の悪化で合流は無理と諦めていたので、何ともうれしい再会である。
これより先は木道の上を、周囲の景観楽しみながら休み休みゆっくり歩くことにする。一度湿原が途切れ林を抜けると、木製の階段状の山道が下っている。階段の途中からは下毛無岱の在り様が鳥瞰され、箱庭のような、何とも美しい景観を見下ろすことが出来た。
更にしばらく木道を歩き続け、ようやく湿原も終わり、広葉樹に覆われた山道を行く。雨続きで足元はぬかるみ、歩きづらく容易ではなかったが、傾斜が緩やかだったのが幸いして途中休むことなく出発地の酸ヶ湯温泉に予定より一時間早くつくことが出来た。
バスの出発時間までにはかなり余裕があったので、悪天候で食べられなかった昼食を、入浴を済ませた後、待合室でゆっくり取ることができた。予定のバスを一本早めて3:28発新青森行きに乗車、酸ヶ湯温泉を後にした。新青森駅で下北半島へ寄り道するメンバーと別れ、新幹線に乗車するまでの時間を利用して、駅ナカの食堂で夕食を済ませ18:30発の「はやて48号」で帰京した。(H.S)
コース記録
1日目
東京駅発7:32―7:38上野駅―10:39八戸駅11:10―バスおいらせ23号―12:50馬門岩13:00―奥入瀬渓谷散策―15:10銚子大滝15:14一16:33酸ヶ湯温泉
2日目
酸ヶ湯温泉8:00―9:50仙人岱10:00―10:50大岳山頂10:55―11:20大岳ヒュッテ避難小屋11:40―12:00上毛無―12:30下毛無岱13:55酸ヶ湯温泉15:28―バスみずうみ9号―16:50新青森駅18:30―22:08東京駅到着後解散
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