餅つき、トン汁作りで、にぎやかに楽しく忘年山行
景信山 727m 2011年12月10日(土)
忘年山行として選んだのは、師走恒例の景信山だ。高尾山の山域にある景信山は山頂で餅つきが楽しめる、知る人ぞ知る師走うってつけの山だ。前日に寒波が襲来、東京でも西部一帯に降雪があり、足元が心配された。小屋と頻繁に連絡を取り、餅つきには支障なし、足元も大丈夫ということで、予定通り10時半ごろにもち米2升五合を蒸かしておいてもらうことで決行。早朝、新宿から京王線で高尾まで向かった。前日の悪天候がうそのようにすっきり晴れ上がり、雪に覆われた富士山が紺碧の空にきれいな稜線を描いている。
高尾駅から小仏峠行きのバスに乗車する。好天に誘われて、すでに駅のバス停には大勢のハイカーがピストン輸送のバスを待っていた。ほぼ予定の時間にバスに乗車。満員のバスに揺られること20分近く、終点で下車した後、登山口まで歩き始めた。道路際には霜があり、ところどころ残雪が見られる。民家の軒先には、往来するハイカー目当てに、手作りのお萩や梅干し、キュウイなどが売られている。
15分ほどで登山口に到着。ここから山道に入るが、いきなり急坂だ。ローム層の地質の足元も前日の雨や雪でぬかっている。しかし、さほどではなく何とかなりそうだ。徐々に高度を上げ、樹林を抜けていく。初冬の山道は、実に味わい深い。やがて樹林が切れ、明るくなる。ふと振り返ると、眼下に新宿の高層ビル群を望むことができる。視界の右手には横浜、品川方面が広がり、そして左手には池袋や秩父の山並み、その向こうには筑波山も見える。正面の新宿の向こう、ひときわ高いタワーは間違いなくスカイツリーだろう。最後の階段を一気に登ると、山頂だ。数棟の小屋が並び、小屋の周りにはたくさんのハイカーでにぎわっている。早速、餅つきの準備開始だ。
それぞれ持参したものをザックの中から取り出し、餅つき用、トン汁用と分けながら、手際良く並べて行く。テーブルの上は、たちまちボールやタッパー、お鍋、あんこ、きな粉、大根、漬物、納豆、海苔、トン汁用の具材、そしてテルモスや水筒、ペットボトルでいっぱいになる。お餅担当、トン汁担当と分かれて、楽しいひと時が始まる。二つのテーブルの真ん中に臼が据えられ、蒸かしたてのもち米が放り込まれる。
「さあ、皆さん、まず手を洗って下さい」。Hさんが消毒薬入りのお湯を入れたボールを持って回る。みな手を洗い、持ち場につく。
初参加のTさんが率先して杵をにぎり、もちを臼に押しつぶすような形でこねていく。巧みに杵を扱う。聞けば、毎年、「町会の餅つきで15も16も、もちをつく」のだそうだ。なるほど。昔取った…と言うが、現役の杵づかそのものだ。女房役として、もちをひっくり返す役は、これまた手なれたHさんだ。掛け声よろしく、Tさんとの息もピッタリ。アツアツのもちをひっくり返す役にSさんも入る。ぎごちない動作も次第に板についていく。つき手もKさん、Sさん、Tさんと次々に交代し、女性陣含め、全員がつき手になった。
そして、臼を挟んで二つのテーブルの一方では、つき上がったもちにからめるあんこやきな粉、納豆などの準備が進んでいる。
MさんとTさんは、黙々と大根をおろす。量も多いため、Mさん、大変そうだ。おそらく家では台所仕事などしたことがないだろうTさんも、なれない手つきながら、大根と格闘している。その脇で、Kさんは「いまどきプルトップでないカンなんて…」とぼやきながら、あんこの缶詰を缶切りで3つも4つも開けている。そのあんこやきな粉をHさん、Fさん、Jさんが紙皿に移し替える。Kさん、Mさんは納豆や漬物の担当だ。それぞれ絶妙なチームワークだ。
一方、トン汁班を仕切っているのが、この人に任せておけば安心という2人のSさんだ。大きな鍋でいっぺんに15,6人のトン汁を作ろうというので、なかなか煮上がらない。
「あっ、そんなに全部野菜を入れたらダメ。入らないよ」(男性のSさん)
「Sちゃんが水を入れ過ぎなのよ」(女性のSさん)
「随分と具だくさんだね」(ニヤニヤと偵察にきた、もう1人のSさん)
「きのこは、これぐらいでいい?」(手伝いにきたJさん)
「ニンジンは、その半分でいいよ。ボク、ニンジンが嫌いだから」(別のSさん)
「まだフタを開けちゃダメ。沸騰するまで待って」(うんちくのSさん)
まさに鍋奉行ぞろいのトン汁班。この奉行同士の火花散らし合う攻防を横目に、大根で格闘したTさんは、鍋の蓋に手を置いて、冷えた手を温めている。
モチがいち早くつき上がり、それぞれあんこやきな粉、納豆、海苔、大根などに絡めて、にぎやかに食べ始めたが、トン汁はなかなか出来上がらない。このため、山用のコンロを二つ持ち出し、大鍋の汁を順次移して沸騰させ、それをまた鍋に戻すという奇手を編みだし、トン汁も出来上がった。味噌は、Kさんが「定価1,200円の白味噌を700円にねぎって買ってきました」というKさんの京風白味噌だ。おそらく家庭でも使ったことがない味噌かもしれない。冷えた身体に温かいトン汁は、とてもおいしい。次々とお代わり、お代わりとお椀が差し出されて、あっという間に鍋いっぱいのトン汁も完食した。
お餅、トン汁の後は、リンゴのデザート、そして喫茶「浪漫亭」の開店だ。店主はKさん。これまた美味しそうなコーヒーや紅茶、お茶が並び、食後のひと時を味わう。富士山もまだまだ見える。隣でも、餅つきが始まる。山頂到着から2時間が経過したが、たまにはこうしてゆっくり過ごすのもいい。
午後1時前、下山を始める。当初の予定は、2年前と同じ高尾山経由で下りることにしていたが、この日は人も多く、山頂でゆっくりしたため、小仏峠コースで下り、小仏バス停経由で帰ることにした。お餅、そしてトン汁でおなかいっぱいになったメンバーからは異論は一切なかった。
日帰り湯「高尾の湯」につかった後、高尾駅で現地解散した。(O)
コース記録
新宿7:00=(京王線急行)=7:57高尾/高尾駅北口8:32=(京王バス)8:52小仏バス停9:10⇒⇒9:30景信山登山口⇒⇒10:25景信山12:50⇒⇒13:30小仏峠⇒⇒14:15小仏バス停14:40==15:00高尾⇒⇒15:45高尾の湯17:30⇒⇒17:40高尾 (解散・帰京へ)
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