台風4号で双六に連泊、北アの名峰「笠」はお預け
笠ヶ岳 2898m、双六岳 2860m(いずれも登頂断念) 2010年8月10日(火)〜13(金)
北アルプスの孤高の名峰「笠ヶ岳」を双六小屋経由で3泊4日の縦走予定で入山した。
出発日の前々日(8/8)夜に沖縄の南西海上に発生した台風4号が今回の山行にこれほどの影響を及ぼすとは予想だにしなかった。8/9(月)時点では太平洋高気圧の勢力が強く日本列島への影響はそれ程ないと思われていた。
新宿バスターミナルを定刻の8時に出発した高速バスは順調に進み、途中諏訪湖SAで20分の休憩を取ったあと平湯温泉に5分遅れで到着、高山から来たバスに乗り換え、13時過ぎに新穂高温泉に着いた。
バスターミナルで登山届を提出、雨具を着用して出発。雨は一旦弱くなったが、その後だんだん激しくなってきた。途中、3日後の下山口である笠新道入口を確認してわさび平小屋へ駆け込んだ。この時点ではまだ台風4号に関しては楽観していた。この小屋は宿泊客のみだが入浴ができ、シャンプーと石鹸も置いてあったので全身さっぱりできた。又、部屋も布団が10組で最大20人のところを7人だったのでゆっくりできた。
2日目はわさび平から双六小屋までの今回の山行で最も標高差(1200m)のある登り基調の行程。予定通り5時30分に小屋を出発。暫く林道歩きの後、小池新道に入る。この登山道はとても歩きやすい。黙々と高度を稼ぎ、秩父沢出会いで大休憩。沢を駈け落ちる水しぶきで空気がひんやりしていて、ほてった体を冷やしてくれる。シシウドが原を過ぎたころ雨が降り始め、鏡池では有名な水面に映る「逆さ槍」どころか槍ヶ岳や穂高連峰そのものが姿を消していた。鏡平山荘で休憩後、暫く急登すると森林限界を超え、弓折中段の標識がありお花畑が現れる。この辺りから例のすがすがしい青紫色のトリカブトの花が目立つようになる。稜線上の弓折乗越=写真右=ではミヤマダイコンソウ、ハクサンイチゲ、コイワカガミなどが咲いていた。左は笠ヶ岳、右へ行くと双六小屋方面でベンチでは大勢の登山者が休んでいた。ここからは稜線歩きとなり、雪田の近くにある「花見平」や「くろゆりベンチ」のお花畑などが現れ、たくさんのお花が励ましてくれる。
雨が激しくなる中を黙々と歩き、双六小屋にたどり着いた。濡れた衣服を着替えて食堂で昼食を取り、そのまま生ビールと気付薬でミニ宴会となった。時間的には充分双六岳を往復できたがこの天候ではとても無理だ。小屋のテレビやスタッフの方から台風4号の情報収集を行い、翌日の笠ヶ岳は稜線歩きとなるので危険すぎると判断して中止することに。小屋の衛星電話で笠ヶ岳山荘に連絡を取り、宿泊キャンセルをした。
3日目に下山するかもう一泊するかの判断は翌朝の状態で最終決定することにした。深夜にもの凄い風で眠れなかったメンバーもおり、朝になっても強風が止まず、雨も激しくなってきていて、弓折乗越までの稜線歩きと小池新道の下りが増水で危険との小屋スタッフの助言もあり、朝食時にもう一日小屋で滞留(連泊)することに決めた。
3日目は小屋の中で一日過ごすことになり、さすがに時間を持て余した。雑誌を読んだり、将棋を指したり、昼寝をしたり、テレビを見たりと様々だったが、一歩も外に出られなかったのは辛かった。尚、朝から少人数のパーティーが少しづつ小屋を出発しており、3分の1〜半数近くは下山したものと思われる。昼食は小屋のメニューからカレー1、牛丼2、ラーメン4を各々注文したが、ラーメンの麺が粉っぽくて評判がよくなかった。なお、連泊者の夕食は通常のもの(天ぷら)とは別のメニュー(焼肉)が選択できたり、朝・夕食とも内容はよかった。又、部屋も布団が8組あったが、われわれ7名だけだったので他に気を使うこともなくゆっくりできた。
4日目(最終日)は双六小屋から新穂高温泉まで一気に1500mを下る行程。夜明け前は星空だったので期待できそうだ。出発の準備をして小屋の外に出たら、小雨が降ってきており、あわてて雨具を着込むことに。ストレッチを入念にした後、2日間お世話になった双六小屋の前で全員の集合写真を撮って、弓折乗越に向かって出発。雨はすぐに上がり、稜線からは西鎌尾根や笠ヶ岳に続く稜線がきれいに見えたが、その先の槍ヶ岳・穂高連峰や笠ヶ岳の雄姿はついに見ることはできなかった。弓折乗越まではお花畑を楽しみながらゆっくり歩いた。弓折乗越からは快調に下山し=写真左=、気が付いたら笠新道入口に着いていた。わさび平小屋で食べた1個200円のトマトがもの凄くおいしかった事が記憶に残っているが…。まさか笠新道経由で下ったか?
11時50分新穂高温泉に下山。11時55分発の高山行のバスに何とか乗り込み、平湯温泉で下車。バスターミナルで新宿行の便変更(16:40発→15:40発)を行い、ひらゆの森で久しぶりの入浴と露天風呂めぐり(8個)を堪能した。バスターミナルに戻り、生ビールで無事の下山を祝し、遅めの昼食を食べて、定刻通りに来た新宿行の高速バスに乗車。バスは途中、小仏トンネル手前で19kmの渋滞があったが、それほどの遅れとはならず20時40頃新宿バスターミナルに到着、そこで解散となった。
宿泊費の残金管理をしていただいた加藤さん、ずっとしんがりを務めていただいた斉藤さん、お疲れ様でした。又、今回もライチョウに会えなかった清水さん本当に残念でした。今度の山行では一度も雄姿を見せてくれなかった槍ヶ岳、穂高連峰、双六岳、鷲羽岳、笠ヶ岳の皆様、次回の山行の折には我々にその素晴らしい姿を惜しみなく見せてくれるようお願いしたい。(S)
コース記録
<8/10(火)1日目>
新宿バスターミナル(高速バス)8:00発⇒⇒12:35平湯温泉12:40⇒⇒新穂高温泉13:15着
新穂高温泉13:40===14:50わさび平小屋(泊)
<8/11(水)2日目>
わさび平小屋5:30===6:40秩父沢出会6:50===7:45シシウドが原7:50===8:55鏡平小屋9:10===10:10弓折乗越10:15===11:30双六小屋(泊)
<8/12(木)3日目>
双六小屋(連泊)
<8/13(金)4日目>
双六小屋5:20===6:45弓折乗越6:55===7:30鏡平小屋7:45===8:20シシウドが原8:25===9:20秩父沢出会9:30===10:30わさび平小屋10:45===11:50新穂高温泉新穂高温泉11:55発⇒⇒平湯温泉12:35着、立ち寄り湯(ひらゆの森)と昼食、平湯温泉15:40発(高速バス)⇒⇒新宿20:40着
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