ハプニング克服し、落ち葉の絨毯踏みしめてカヤトの山頂へ
小楢山 1713m 2011年11月12日(土)
心配していた天候も好転し、穏やかな小春日和の山歩きを楽しもうと、いつものように総勢15人で繰り出したはいいが、いくつかのハプニングにも見舞われた忘れがたい山行となった。
マイクロバスは定時、箱崎から首都高、そして中央高速へと向かう。ところがまず参ったのが晩秋の紅葉を求めての渋滞、そして渋滞。車が多いのに加えて、よくある事故渋滞。これはこれで仕方ないと腹をくくり、歓談しつつ、高速の車窓から遠くに見える山並みや田畑、秋色に色づいた木々の景色を楽しんだ。中央高速に入ると、すでに頂上に雪をいただいた富士山が見え、真っ青な空に美しく映えている。
そして、本日の目的地の少し手前、塩山市の市街地に入ってまもなく、バスが信号待ちからゆるやかに発進したと思ったら、運転席のあたりから、カタコト、カタコト、何かがぶつかる音が間断なく聞こえてきた。音は小さくなったり、大きくなったり、早くなったり、遅くなったり。一向にやみそうにない。車を止めても、まだカタコト、カタコト。止む気配がない。一体何だろう。たまたますぐ近くにガソリンスタンドがあったため、そこに飛び込んだ。そこでは対応出来ず、さらに数百メートル離れた修理工場へ。一行を乗せたバスが修理工場入りするというのは、初めての緊急事態だ。
どうもファンベルトが切れ、切れたベルトの一部がぶつかっているようだ。修理時間には1時間は必要だという。さてさて、どうする。高速の渋滞もあり、時間はすでに10時をとうに過ぎている。下手をすると、登山口にたどりつくのがお昼になってしまう。塩山駅がすぐ近くということもあり、中央線を使い大月まで戻り、手頃な駅から駅登山が可能な岩殿山あたりの登山に変更し、下山後、修理を終えたバスと合流しようか。それもいい。だが、待てよ。もう焼山峠まで車で40分ほどの距離に来ているはず。であれば、タクシーを数台調達し、タクシーで峠まで上がるか。うん、せっかくの小楢山プランを生かそう。ということで近くのタクシー会社に携帯で連絡を取り、急きょ3台のタクシーを呼び寄せた。さあ、行こうかと、乗り換えを始めようとしたところ、見渡すと女性陣がほとんどいない。「もう、今日は温泉でいいんじゃない」「たまにはそれもいいわね」と、すでに「見切り」をつけた女性陣は、修理工場の向かいにあるスーパーに行ってしまったようだ。トイレの借用の後、ウインドー・ショッピングを楽しんでいるのかもしれない。呼び出しの館内放送でもしてもらおうか。そうこうしているうちに、修理工場の見立てによれば、垂れ下がっているファンベルトの一部を切り落とし、エアコンを使わなければ走行可能。修理は後日すればいいのではないかという。我々の窮状を察して、考えてくれたのだろう。その案に乗ることにした。手配したタクシーが次々と到着して申し訳なかったがキャンセル。バスからザックを下ろし始めた者も改めて積み込みを開始し、一息入れて出発した。先ほどの異音は全くない。
そして次のハプニングというか失敗。バスは予定していた焼山峠へのクリスタル・ラインを上がっているものと確信していたが、途中、未舗装の道が出てきたと思ったら道路工事車両がいて、数台の車が待たされていた。しばらく待機を余儀なくされた後、狭い山道を何とか峠まで上がった。あとあと調べてみたら、クリスタル・ラインの一つ手前の林道に入ってしまったようだ。ともあれ、こうして艱難辛苦の末、焼山峠に到着したのが午前11時。本来は山頂の手前、もうひと登りの地点まで来ている時間だ。
よし、今日は登れるところまで登り、少しでも秋の山行を楽しもう。トイレを済ませ、準備体操をして、出発した。登山口から山頂までの標高差は200mほどだが、思った以上にアップダウンがある。しかし、まあるく穏やかな弧を描いたようなアップダウンであり、晩秋の気配がただよう樹林歩きは気持ちいい。たくさんの落ち葉が敷き詰められた登山道をゆっくり、ゆっくり、周囲の景色を眺めながら歩く。トップのSさんの歩調がやさしい。絶え間なく笑い声が聞こえ、皆、余裕を持って山歩きを楽しんでいるのがよくわかる。ダケカンバだろうか、まだら模様の白い幹が青空に向けて立ち上がっている。木々が交錯し、その隙間から遠くの山並みが見え隠れする。寒くもなく、暑くもない。いくつかのコブを越え、しばらくいくと旧道と新道の分岐につく。ここは当初の予定通り、ゆるやかな旧道を上がる。やがて一杯水の三差路に着く。ここまでくれば、山頂までは、あとひと登りだ。最後の急坂を登り詰め、行く手にススキがたくさん見え始めてくる頃、南方向が開けて、そこから明るく日の光が差し込んでいる山頂が見えてきた。
カヤトの山頂には数人の登山客がいる。広い甲府盆地の向こう、横一列の雲の上に冠雪の富士山も頭をのぞかせている。予定では、この先の幕岩、大沢ノ頭まで足を伸ばすことにしていたが、今日は山頂でゆっくりお昼を取り、過ごすことにした。
帰りは、別ルートで下山することにし、幕岩に至るちょっと手前の分岐点まで進み、ここから山頂の西側の巻き道を通り下山した。いつしか歌が出て、皆、楽しそう。昔懐かしい子供のころ見たテレビ漫画やドラマの歌だったり、思い出話しだったり、歓談は尽きない。途中、一面の落ち葉の山道で何度か記念撮影。15人の歩調は、終始離れることがない。前方からも後方からも、絶えず、笑い声が聞こえていた。思わぬハプニングに見舞われたものの、絶えず笑い声に包まれた、気持ちのいい山行だった(G)
コース記録
清澄白河==箱崎6:30==首都高・中央道勝沼IC==11:00焼山峠11:10⇒⇒12:20一杯水⇒⇒12:35小楢山13:15⇒⇒14:50焼山峠==13:40道の駅「花かげの郷まきおか」==16:00窪平温泉・花かげの湯17:15==20:00過ぎ帰京
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