錦織り成す鮮やかな栗駒と神秘的な蔵王のお釜―みちのくの秋を堪能
栗駒山1627m 蔵王・刈田岳1758m 2012年10月6日―7日
いつかまたあの紅葉を見たいと思っていた栗駒山を、気が置けない仲間と一緒に、総勢18人で訪れた。初日は一面に広がる錦秋の栗駒、そして2日目は、貸切バスで蔵王まで足を伸ばし、これまた山肌に広がる紅葉とともに神秘的な深いエメラルドグリーンの湖水をたたえるお釜を堪能した。
宮城、岩手、山形の3県にまたがる栗駒は、たおやかな稜線が重なる美しい山だ。多くの高山植物が生育し、とりわけ秋は、外輪山の山頂を中心に、日本一ともいわれる紅葉が広がる。初日に山頂までを往復し、麓の温泉で憩い、さらに翌日は蔵王までと、ちょっと欲張りな行程を組んだ。
東京から新幹線を使い、午前8時半前にくりこま高原駅に降り立った。登山口のいわかがみ平までの季節運行バスもこの日からのスタートで幸先がいい。
いわかがみ平には、多くの登山者がいて、次から次へと登ってくる。沢沿いで道がやや荒れている東栗駒コースを上りに、そしてポピュラーな中央コースを下りに取ることにした。案の定、溝状にえぐられた道に難渋し、岩ゴロゴロに悩まされた。大きな岩をロープ頼りに身体を引き揚げる個所もいくつか。何とかクリアした後、しばらくして、いわゆるナメの沢が目の前に現れた。新湯沢の徒渉点だ。滑らないように注意して、水に濡れた岩の上を慎重に進む。今日一番の難所だろう。100mほど清流沿いに進み、足元に気をつけながら左から右側の道へ入る。あたりの樹林も次第に色づいてきた。ここまで来ると、視界が開け、赤や黄の色づいた山肌が折り重なるように見えてきた。前日、地元栗原市の田園観光課に電話で聞いた通り、山頂はすでに見頃のようだ。
やがてハイマツの砂礫帯になると、一気に見通しが開け、東栗駒の山頂に出る。途中、紅葉をカメラに収めながら、左に湾曲した尾根をたどり栗駒山の山頂を目指す。尾根道からは、いよいよ錦のカーペットの紅葉が次から次へと展開する。上り始めは今年の紅葉は遅めとあきらめていたが、登るにつれ、眼前に展開する鮮やかな紅葉の山肌に感激だ。あちこちから歓声が上がる。
植生を守るためにロープが山道の両側に張られ、その中を進む。やがて左からの階段の中央コースを合わせると、もう15分ほどで山頂だ。少し風はあるものの、さほど寒くはない。独立峰の360度の山頂で、周囲の山並みが実に素晴らしい。今、上ってきた東栗駒方面から少しガスが上がってきた。北から東の山並みはくっきりと見え、遠く雲の上に、鳥海山がきれいな稜線を広げている。
ひとしきり眺望を楽しんだ後、下山は予定通り、中央コースを下ることにする。いわかがみ平の下山口に宿の迎えのバスをお願いしていたが、ここまでのタイムで予定時間をだいぶオーバーしそうなため、Kさんにひと足早く下ってもらうことにし、あとはゆっくりと下ることにした。中央コースは一直線で、ポピュラーなコースだが、コンクリートの歩きにくい道だ。山頂に別れを告げて1時間半、いわかがみ平に全員無事に到着した。
迎えのバスに乗車して、宿のハイルザーム栗駒まで10分余り。紅葉を堪能したあとは、露天の温泉にゆっくりとつかり、広間の宴会場で、いつものように楽しい“反省会”となった。
2日目は、あらかじめ手配していた地元のバス会社の貸切バスが午前8時前に到着。稲の刈り取りが始まった田園地帯を走り抜け、蔵王に向かった。蔵王エコーラインに入ってすぐの道路際の温度表示は18度。樹林のジグザク坂道を標高1700mまで一気に上がる。紅葉には少し早いかなと思っていたが、刈田岳の山頂レストハウスの駐車場に近付くに従って、素晴らしい山肌の紅葉がバスの車窓から眺められる。バスを下りると空気はひんやり。すでに駐車場は大勢の観光客がにぎわっていた。
早速、刈田岳の山頂にある神社にお参りし、お釜の近くまで行ってみる。荒々しい火口原がお釜の回りを取り巻く。左手には蔵王のピーク熊野岳が見え、蔵王山神社(熊野神社)の御社(おやしろ)が遠望できる。お釜を望みながらおにぎり弁当を食べる。昨日の栗駒の東栗駒コースには手こずったが、この日はゆったりと過ごす。尾根に吹きあげる風が冷たいため、予定よりも早めに蔵王を後にし、遠刈田温泉・神の湯へと向かった。
紅葉の栗駒、そして蔵王の神秘的なお釜と、みちのくの二大景勝地を相次いで訪れた二日間は、何よりも天気に恵まれ、素晴らしい山行となった。今も、鮮やかな紅葉の山肌が、目に焼き付いている(G)
コース記録
【10月6日】
東京6:04=(新幹線やまびこ51号)=8:24くりこま高原8:45=(季節運行バス)=10:10いわかがみ平10:30⇒⇒11:45新湯沢徒渡点⇒⇒12:30東栗駒山12:55⇒⇒14:20栗駒山14:35⇒⇒15:10小ピーク⇒⇒16:00いわかがみ平16:40 宿の迎えのバスに乗車 ==ハイルザーム栗駒(泊)
【10月7日】
ハイルザーム栗駒8:35==12:05刈田岳(蔵王レストハウス)⇒⇒お釜周辺散策⇒13:55遠刈田温泉神の湯14:55==道の駅むらた==21:00帰京
トップページに戻る