富士の嶺に見守られ、光輝く新緑の登山道
御坂黒岳1793m 2010年5月22日(土)
河口湖の北側に位置する御坂黒岳は、ブナやミズナラなどの自然林が多く残る御坂山地の主峰だ。樹林が山一帯を覆うように生い茂るため「黒岳」と呼称されたという。
行楽日和の快晴のためか、高速道には車が多く、八王子にさしかかったころには、完全に渋滞にはまってしまった。一時はヤキモキしたが、途中から遅れを取り戻して、9時には河口湖ICを抜けて河口湖畔のビジターセンターに到着。ここから登山口の新御坂トンネル近くの三ツ峠入口までは20分とかからない。
この日のバスハイクの参加者は16人。軽く準備体操をした後、トンネルわきの登山道に入っていく。新緑の木々が道の両側にうっそうと茂り、暑い日差しを和らげてくれる。ものの本によると、昔は峠道まで馬も上がったという道だそうで、幅広く歩きやすい。つづら折りになった道をしばらく登ると、南側の樹林の間から、大きな富士山が早くも顔をのぞかせる。さらに、高度を上げると、河口湖も見える。湖畔の市街地も見える。一望のもとだ。
登山口からざっと1時間半。道の向こうが明るくなったと思ったら、御坂峠に出た。右から来る道は御坂山を経て天下茶屋に至る山道だ。峠の茶屋は休業中で人気がない。道標の周囲の草っぱには黄色いタンポポがあちこちに咲き、彩りを添える。記念撮影を済ませて、休業中の茶屋の裏手に延びる西側の尾根道に取りつく。ここから先はしばらく足に優しい尾根道だ=写真右=。途中、あざやかなミツバツツジが我々を出迎えてくれた。ガイドブックには「御坂峠から黒岳に至る稜線にはトウゴクミツバツツジが美しい」とあるから、これがそれだろう。浪漫会の女性陣も負けてはいない。妍を競うようにカメラにポーズを決めてくれる。
もう山頂についたかと思うと、まだまだ、もうちょい。いつもながら山頂は、そう簡単には着かない。小さなアップダウンを繰り返し、下って登って、上り返しを繰り返し、さらに急峻な岩場をいくつか越え、ようやく黒岳のピークに達することが出来た。樹林に囲まれた山頂は展望に欠けるが、時刻もちょうど昼を回った頃合い。ここで昼食をとることにする。多めに食べ物を持参して配って下さる方、食後のデザートにと果物を回して下さる方と有り難い。にこやかに和気あいあいの食事を楽しみ、御腹もくち、新たなネネルギーの充填を終えたところで出発だ。
山頂から200mほど南に進んだところに、まさに展望台と呼ぶにふさわしいビューポイントがある=写真左=。大きな、大きな富士山、そしてその富士山に抱え込まれるように眼下に河口湖が広がる。遠くにハンググライダーが二つ、ゆっくり大空に弧を描くように旋回を繰り返す。静かな青い、広い空が延々と広がる。その雄大な眺望に感動し、晴天の恵みを身体いっぱいに受け止める。
あまりに素晴らしい眺望に見惚れ、さらに展望台わきの小径から数人のハイカーが現れたのを認めたことで、その小径が予定していた下山道と錯覚してしまう。踏み跡は十分ある。しかし、道幅は狭く、傾斜も急なため、ちょっとおかしいなと思いつつ、地図を確かめて、やはりと気付いた。そうだ。下山道は展望台から、いったん黒岳に引き返して西に転じなければならないのだった。頭に入れていたはずなのに、間違った下山道に降りてしまうところだった。一気に河口湖畔の広瀬に降りることが可能だが、快適な尾根歩きから外れてしまう。すぐに気付いて本来の尾根道に戻った。
すずらん峠、さらに破風山を越え、南に富士山を遠望しながらゆるやかに歩を進める。このあたりの道は水ケ沢林道とも呼ばれる道幅のある山道で、「富士山定点観測・画像伝送システム」の太陽電池パネル板が道の脇に設置されていた。やがて新道峠に到着。ここから先は、つづら折りの杉や檜の林の中をひたすら下る。どんどん高度を下げ30分たっぷり下ったところで、中沢林道の出会いに着く。あとは簡易舗装の林道をたどり、別荘地の脇を通り抜けると住宅街に出る。打ち合わせ通り、バスは日月神社脇で待機しており、全員これに乗りこんだ。ほっとひと息。河口湖温泉の元湯「野天風呂天水」に向かい、5時間半ほどの山歩きの汗を流した。十分な山歩きを楽しんだ後だけに六腑に浸みわたる生ビールは格別美味しく、お互いにねぎらい合った。(G)
コース記録
清澄白河6:30=(首都高・中央高速)=9:00河口湖IC==9:35三ツ峠入口9:45⇒⇒11:10御坂峠11:20⇒⇒12:05黒岳(昼食)⇒⇒13:25すずらん峠⇒⇒14:10新道峠⇒⇒14:45林道⇒⇒15:20大石・日月神社==15:30日帰り湯「河口湖温泉 野天風呂天水」16:45==19:30清澄白河
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