アップダウンの連続、壮大な石像、水仙、海の幸、そして幻想的な夜景
鋸山 330m 2012年1月14日(土)
房総の鋸山は日本寺と一体化した山で、「ロープウェイの鋸山」として有名だが、新年初山行となる今回は北側の稜線からの裏鋸ルートを使い、総勢16人で山頂を目指した。
やや雲が多く、冷たい北風が吹く中、鋸山ダム手前の林道の車止めでバスを降車した。歩き始めると、すぐに身体がホカホカと温かくなる。出発から30分余り、そろそろ衣類調整でもと思っていたら登山口に着いた。ここから木々が鬱蒼と生い茂る樹林の登山道に入っていく。メジャーなルートではないため、人気(ひとけ)はあまりない。千葉の山は低山の割にアップダウンが多い。鋸山もその例に漏れず、上ったと思ったら下り、またさらに上り返すという具合にいくつものアップダウンを繰り返す。足元も木の根っこが複雑に張り出していて、注意が必要だ。折からの北風が冷たい。樹林に遮られていなければ、5分と立ち止まっていられない寒気だろう。狭い山道のルートを確かめつつ、丸木と石の階段を上り下りして、稜線に取りついていく。階段のある急坂には木柵が多く設置されているため、だいぶ助かる。途中、木々の合間から鋸山ダムの水面が陽の光に反射してキラキラ光っているのが見える。金谷方面の市街地も望むことができる。
登山口から1時間半、連続する階段でうんざりしたころ、ようやく一等三角点のある山頂に到着する。山頂といっても狭く、眺望はほとんどない。通過点としての山頂で、記念写真を撮影したら出発だ。さらに冬枯れの山道を西にたどる。再び上り降りを繰り返す。まさにノコギリの刃そのもののアップダウンで、鋸山の命名の由来を実感する。テレビ局の送信所を回り込み、しばらく行くと前方が明るくなってきた。北風も少し弱まってきたようだ。長い階段を登りきると、東京湾を一望に臨むことができる展望台に到着だ。稜線沿いの裏鋸山ルートもここで一段落。風もなくなり、眺望は360度。この日はあいにく富士山こそ見えないが、真っ青な東京湾の向こうに三浦半島の陸地が手に取るようによく見える。眼下に広がるこの素晴らしい景色を眺めつつお弁当をゆっくり広げたいところだが、この先、さらに急な石段が待ち受けているため、あまり食べ過ぎてしまうと身体の切れが悪くなる。少しだけ空腹感を満たして、景色を堪能したら日本寺へと向かう。
しっかりとした鉄製の手すりがあるものの、100mほどの急下降の石の階段だ。ゆっくりゆっくり、手すりをうまく使って、慎重に下降する。20分ほどで日本寺の北口管理所だ。拝観料600円は少し高いが、日本寺を経由しなければならず、やむをえない。しかし、仰ぎ見るような壮大な石切り場の跡地や大岩壁に刻まれた百尺(ひゃくせき)観音などは、一見に値するスケールだ。「まるで別世界に来たみたい」との声が上がるほど、それまでの山道とは一変して突然現れた石のモニュメントに驚かされる。見上げると有名な地獄のぞきの絶壁が待っている。ここで、地獄のぞきまで足を伸ばすメンバーと、地獄のぞきをパスし一足早く大仏に向かうメンバーと2班に分かれ、ほぼ30分後に無事合流した。
日本一の大きさを誇る大仏は、自然の岩壁に彫り出したようで、威厳も迫力も十分だ。今年1年の会山行の無事下山をお願いして、ゆっくり昼食をとる。穏やかな日差しの中で思い思いにお弁当を広げて歓談。途中、隣のグループから作り過ぎて余ってしまったというホウトウのスープを食べてもらえないかとの有り難い差し入れもあった。
予定通りの午後1時過ぎ、日本寺の駐車場に待機してもらったバスに合流。食後の散策にと、江月(えづき)水仙ロードに向かう。保田周辺の水仙は越前、淡路と並ぶ日本三大水仙の産地でもあり、毎年、この時期の水仙まつりに訪れる観光客も多い。我々も水仙ロードの手前でバスを降車し、路傍や畑に咲く水仙の花をひとしきり愛でた。この後は、保田漁協直営をうたい文句にしている「ばんや」の日帰り湯で汗を流した後、とれたての海の幸を存分に味わった。風呂上がりのビールが一段と美味しく、どのお刺身も新鮮そのものだ。
山を堪能、日本一の大仏様に詣で、芳しい水仙ロードを散策し、美味しい海の幸を味わった後は、近くの道の駅へ。帰路は、木更津と川崎の東京湾にかかるアクアライン経由を取ることにした。東京湾に浮かぶサービスエリア・海ほたるで休憩。ここからの夜景はひときわ素晴らしい。東京や横浜の都会の明かりが海の向こうに幻想的に点滅し、ロマンチックな雰囲気を醸し出す。海ほたるに別れを告げ、一路都内に向かう。運転士の岡田さんが「せっかくだからレインボーブリッジ経由で都内に入りましょう」とさらなるオマケ。ふんだんにオマケが付いたバスハイクとなった。そういえば、バス車内での近況報告では、年末のジャンボ宝くじで1万円を引き当てた方が2人いたとのこと。今年は皆さんにとってさらにいい年になりますように。(1万円の宝くじの購入場所はどちらも亀戸だったそうです。ご参考までに)(G)
コース記録
曳舟6:00==錦糸町==木場==6:25清澄白河 京葉道、館山道を経て、富津金谷IC。国道237号線、127号線を海岸沿いに南下し、日本寺近くの鋸山保田バス停で左折。富津館山道路高架橋下に出て、鋸山ダム方向手前の車止めで8:35全員降車。
鋸山ダム手前8:50⇒9:25林道入口⇒10:20鋸山山頂⇒10:50東京湾を望む展望台⇒11:30石切場跡地⇒11:50日本寺北口⇒百尺観音⇒12:10地獄のぞき⇒12:25大仏13:10⇒東口駐車場(全員、バスに乗車)
日本寺⇒江月水仙ロード⇒14:15保田漁協直営「ばんや」(日帰り湯、休憩)16:00⇒アクアライン経由で18:00ごろ帰京