予想以上の急坂相次ぐが、スリル満点の飛翔を間近に見て、名物料理も堪能
太平山(おおひらやま) 316m 晃石山(てるいしやま) 419m 2011年11月26日(土)
NHKの前日夜の7時の天気予報では、明日の太平山(栃木県)地方は、最低気温1度と低いが、日中は13度とのこと。風もなく、絶好の行楽日和。紅葉も見頃だ。この時期、紅葉お目当ての観光客で電車も混雑が予想されるとのSさんのアドバイスを受け、集合時間を急きょ30分繰り上げての東武浅草駅集合の結果、隣接した4人掛けのボックスシート3つを確保し、途中の北千住乗車の2人も同じボックス席に座ることができた。談笑のうち、ひときわ女性4人のボックス席はおしゃべりに満開の花を咲かせていたようである(バス山行では味わえない楽しいひとときであるかも)。一行11人を乗せた電車は1時間余りで太平山の最寄駅である新大平下駅に、予定通り9時21分、滑り込んだ。
「最高の天気だね」。駅前の広場に出た途端、何人かが声を挙げた。抜けるような真っ青な空が頭上に広がっていた。本日の参加者の日常の行いの良さに、お空様が歓迎のお出迎えか。駅前広場でいつものように準備体操をした後、9時30分に出発。舗装道路、そして木立の中の道と交互に歩いて1時間20分余り。紅葉がみごとに映える清水寺(せいすいじ)に到着した。めいめい着衣調整。休憩中、聞こえてくるのは、山頂神社の境内茶店での三大名物(玉子焼き、焼き鳥、団子)にまつわる話し声だ。あえて誰とは言わないが、どうも太平山のイメージは「山(花)より団子」ということかもしれない。30分ほど歩くと見晴らしのいい桜峠。ここで小休憩。時間も11時30分ほど。歩き始めから2時間近く。そろそろ腹時計も鳴り始めたようで、各自それぞれ軽食をお腹に入れていたようだ。
桜峠からはすぐに急坂だが、上りと下りを分けるように道の真ん中に木柵の手すりが上まで据えられている。久しぶりの参加のNさんは、ベテランのメンバーにストックを使うことの良否を尋ね、そのアドバイスの結果、使うことにしていた。いつもながらベテランの適切な技術的なアドバイス、励ましは有り難い。おかげで元気づけられ、急こう配をさほど苦も無くクリアできたようだ。この先、晃石神社までは30分ほどの道のりだが幾つかのアップダウンの繰り返しが続く。急こう配の不規則な岩塊、そして落ち葉の下に隠れている木の根っこ。この日の太平山一番の難所だ。「もっと楽な山だと思っていたのに、結構きついねー」。そんな声もあちこちから聞こえてきたさ中に、一行の中ほどを歩いていたNさんがつまずき転倒、はずみで膝をしたたか岩に打ってしまったようだ。女性陣が駆け付け、ズボンをたくしあげて、サポーターを巻くなど膝の手当てを施した。幸い大事はないようで、ひとまず安心した。
目的地である太平山(神社)に着いたのは午後1時過ぎ。とりあえず記念撮影を済ませ、その後、各自それぞれ願いを込めてお参りをしていた。そして、やっとのこと待望の玉子焼き、焼き鳥、そして団子の登場だ。茶店に入り、1時間余りの休憩で、ゆっくりと名物料理を堪能した。この後は、10分ほどで「陸の松島」とうたわれ、戦国の名将、上杉謙信もその眺めの良さの素晴らしさに感嘆したといわれる展望台である謙信平に着いた。しかし、残念ながらあいにくの霞で、視界はゼロに近く、ほとんど何も見えない。誰かが謙信平の標高は、スカイツリーの第一展望台と同じくらいの高さであるから、634mのスカイツリーが見えるのではないかというので、目を凝らして見たが、残念ながら見えたのは瞼に浮かぶスカイツリーだった。
霞がかってしまったのは、11人の普段の行いが関係していたのかどうか定かではないが、11人の普段の行いの良さを物語る絶好の光景に出くわしたことを付け加えておきたい。折よくハンググライダーのスリル満点の飛び出しを間近に見ることができたのである。
晃石神社から太平山に向けて10分ほど歩いたところにハングライダーの出発点がある。そこからの眺望の良さに魅かれて立ち寄ったところ、ハングライダーがまさに飛び出そうとしているところだった。我々のグループを含めて20人ほどの登山者が足を止め、スリル満点のその一瞬を見守る。誰1人声を発することなく、張り詰めた緊張の中、2人の補助者が楕円形の紙風船を半分ほどに切り取ったような羽根状のパラシュートのようなものを両側から持ち上げたかと思うと、その瞬間、折からの風を一気にはらんで、我々に背を向け、大空に向けて勢いよく飛び出した。まさに一瞬である。次の瞬間には、すでに風をうまくとらえたハングライダーは数十メートル先を滑空していた。眼下には田畑、そして市街地が広がる。期せずして拍手が一斉に響き渡った感動の飛翔である。我々のメンバーも、目の前でハンググライダーが飛び立つ様子を見ることが出来たのは初めてではないか。
紅葉の方は、ところどころ見事な色彩に感動したが、NHKテレビが「見頃、見頃」とPRするほどではなく、こちらはちょっぴり期待外れであったようだ。ともあれ、謙信平から1時間後に、新太平下駅に到着。ここで怪我をしているNさんと用事がある2人が一足早く帰路につき、残り8人は入浴してから帰ろうということになり、新大平下駅での現地解散となった。名物料理の誘惑があったにもかかわらず、この日は解散するまでアルコール類は一切なし。これは浪漫会数多くの山行の中で、珍しいことかもしれない。
入浴組8人のその後の行動は解散後のことなので、公式記録となる本稿では割愛させていただきます。長くなりましたが、これにて終わります。(T)
コース記録
東武浅草駅8:21==9:21新大平下⇒⇒10:50清水寺⇒⇒11:25桜峠⇒⇒12:00晃石神社⇒⇒13:20太平山神社==15:30新大平下駅(今回は、ここで解散)