延々と続く木道歩き、色づき始めた湿原や燧ケ岳の雄姿を楽しむ
尾瀬ヶ原 1400m、尾瀬沼 1660m 2011年9月23日(金)〜24日(土)
四季折々にいろいろな表情を見せてくれる尾瀬。草紅葉が色づき始める尾瀬ヶ原と尾瀬沼を1泊2日で歩いた。参加者12名
初日の朝7時25分にバスターミナルに到着するも、最後だった。集合時刻は7時30分だったが当会のメンバーの出足の良さは健在だ。定刻通りバスは出発したが、関越道の大渋滞に巻き込まれた。高速入口から高坂SA付近までのろのろ状態、尾瀬戸倉到着は1時間遅れ。尾瀬戸倉で大型バスから小型バスに乗り換え、鳩待峠へ向う。
到着が13時を過ぎていたので、早速昼食をとることに。旅慣れた(?)一部メンバーは既にバスの中で済ませていたようだ。昼食後、雨がポツポツと落ちてきたため、雨具を装着して鳩待峠を後に。山の鼻までは雨で濡れた木道の下りとなったので、スリップに注意しながら慎重に下った。川上川に近いところでは真新しい木道や補強された木道が目に付いた。7月末の新潟・福島集中豪雨で川が氾濫し木道が流されたようだ。
山の鼻から宿泊地のある見晴までは尾瀬ケ原を西の端から東の端まで、距離6kmを2時間かけて歩くコース。本来ならば至仏山を背に、燧ケ岳を見ながらの爽快な木道歩きとなるのだが、鳩待峠で降っていた雨は上がったものの、雲が厚く垂れこめており、百名山でもある至仏山と燧ケ岳の姿は見えず残念であった。今の季節、尾瀬ケ原は草紅葉が始まっており黄金色とは呼べないものの見事な景色をみせてくれた。また、所々にある池塘の一つではヒツジグサが可憐な花を咲かせていた。朝の渋滞で時間が押していたことと気温が低く肌寒かったため、多少駆け足気味のペースで歩き、予定の16時20分に弥四郎小屋に着くことができた。
小屋で荷をほどき、冷えた体をお風呂で温めた後、内から温めるべく缶ビールと日本酒で、夕食前のひと時を過ごした。夕食後はウイスキー、ブランディー、自家製の果実酒などを飲みながら、男性メンバー中心に山の話などをして時間を過ごした。(お酒に弱いリーダは例によって何の話だったかよく覚えていません)
部屋は男女とも同じ大きさであったが、男性5名は貸切で女性7名は他に2名の相部屋となり、宿坊に宿泊した時とは逆の待遇となった。山ガール(?)が大勢宿泊したため、女性の比率が高くなったものと思われる。尾瀬の山小屋はお風呂があり、トイレも水洗できれい、完全予約制なので混雑しないなど、いわゆる山小屋とは違い快適であった。
翌朝は幻想的な朝霧の湿原を散策すべく5時頃起床、朝食前に湿原を少し歩いてみたが残念ながら、もやがかかっておらず早々に小屋に戻った。朝食が1回目の5時40分だったため、出発を30分早め7時としたが、6時45分位には全員準備が整い、尾瀬沼に向かって歩き始めることに。当初予定の南岸コースは7月末の集中豪雨で登山道崩壊があり、通行止めだったので、時間的に少ない北岸コースで沼を半周すること、及び出発時刻の繰り上げなどもあり、もともと時間に余裕があった行程がさらに余ることになるため、追加プランを歩きながら検討する羽目になってしまった。
二日目は幸い朝から天気に恵まれ日差したっぷりの中、沼尻に向け緩やかな木道をゆっくりと登る。途中、燧ケ岳への見晴新道を左に分け、さらに延々と登りが続く。登り疲れたころ、いきなり急な岩塊の下りが現れ、白砂峠を通過したことが分かった。下りきると白砂湿原だ。長い樹林帯の登山道から開けた湿原に変わり気分も晴れやかになる。ここから沼尻平までは20分位だ。
抜けるような青空、さわやかな秋の風。そんな穏やかな湿原で、巷間語り継がれるであろう「ズボン事件」が突如として起こった。休憩後、歩き始めてすぐのことである。最後尾のほうが騒然とし始め、数人が取り乱し狼狽している。何と、女性メンバーのズボンが引力に負けてずるずると足元に落ちてしまったようだ。間一髪、事なきを得たのかどうだったのか、遠目にはよくわからない。かなりやばい状況であったと推察される。原因はよくわからない。ただもう少し湿原の草紅葉に見とれていたら、事態は最悪の場面を迎えたに違いない。初秋の湿原で起きたこの一件、実はこの日二番目の「ズボン事件」と称した方が正しい。それより前に「第一のズボン事件」が発生していた。現場は濡れそぼった樹林の中である。もはや雨の心配はなく、歩き始めて暑くなってきたため、1人の女性メンバーが衣類調整しようと靴をはいたままで雨具のズボンを脱ぎ始めたが、靴にひっかかりなかなか脱げずによろけている。そのさまを見て業を煮やした(?)男性メンバーのT氏とS氏がいきなり両脇から2人がかりで強引に脱がしにかかった。「まるで2人の男が寄ってたかって、か弱い女性のズボンを無理やり脱がしていたようだった」とは、その一部始終を見ていたK嬢が帰りの電車で漏らした感想だ。アルコールで潤んだ目のK嬢。そのホンネは、自分もそうして欲しかった、と言いたかったのかもしれない。
沼尻休憩所でナデッ窪から燧ケ岳、尾瀬沼などを眺めながら大休憩。あまり休憩しすぎると沼尻の語源「お尻が沼にはまっちゃう」ことになるので北岸コースを尾瀬沼ビジターセンターに向け出発。このコースは南岸コースに比べて歩きやすいが、展望がないのが難点。途中、燧ケ岳へ続く長英新道を左に分けるとほどなくニッコウキスゲの大群落で有名な大江湿原に着く。沼山峠への道とは反対方向の尾瀬沼ビジターセンターに向う。ここにはビジターセンター設置の2台の望遠鏡があり、燧ケ岳の俎ー頂上に焦点が合っている。覗き込むと頂上がすぐそこにあるように見え、登山者が動いている様子も確認できる。
予定ではここで昼食なのだが、まだ10時を少し過ぎたところなので予定外の三平下休憩所近くにある燧ケ岳観賞随一と云われているビューポイントまで足を延ばすことにした。やや色づいた湿原と濃青の尾瀬沼と緑の燧ケ岳と青い空のコントラストが素晴らしい。天気の良い日はいつきても期待を裏切らないポイントだ。ビジターセンターまで戻り昼食大休憩を1時間とることにした。ビジターセンターでは尾瀬の自然や動植物について写真やスライドなどで知ることができる。なにやら怪しげなボックスの中を熱心に覗き込んでいるメンバーの姿もあった。そこで一つ質問「チングルマ(稚児車)は草か木か?」
楽しかった尾瀬沼ともお別れして、沼山峠への登山道を一歩一歩ゆっくりと登る。途中、峠で尾瀬沼へ別れを告げ、滑りやすい木道を慎重に下り、バス停のある沼山峠に13時20分に下山した。バスの発車時刻までの1時間をそれぞれ過し、14時20分発のバスに乗車、桧枝岐の役場前停留所で途中下車した。駒の湯で汗を流して、食事処「まる家」まで少し歩き、生ビールと美味しい裁ちそばでお腹を満たした。会津高原尾瀬口でお酒を仕入れ、電車に乗り込む。車内は4人掛けのボックス席だったのでいきなり宴席となった。鬼怒川温泉駅で特急「きぬ」に乗り換え、スピードアップしたが栃木県を抜ける前には一升瓶が空になったようだ。北千住で乗り換える人が多いため、ここで解散となった。
濡れた木道歩きが多かったのですが滑って転んだ方がほとんどいなかったように聞いています。市川さんが転んでお尻を打ったことだけが報告されていますが、その他の方は大丈夫だったのでしょうか?
初日はちょっとあわただしく、二日目は逆に時間にゆとりがありすぎて、計画の甘さが露呈してしまいました。でも、天気が良くてみなさん楽しめたようなのでほっとしています。(S.S.)
コース記録
【1日目】
新宿駅新南口7:50===(関越交通高速バス)===12:35尾瀬戸倉12:45===(連絡バス)===13:05鳩待峠(昼食)
鳩待峠13:35−14:30山の鼻14:45−15:20牛首分岐15:25−15:55竜宮小屋16:00−16:20弥四郎小屋(泊)
【2日目】
弥四郎小屋6:45−8:50沼尻9:15−10:10尾瀬沼VC10:20−10:35三平下展望地10:45−11:00尾瀬沼VC(昼食)12:00−13:20沼山峠13:30
沼山峠14:20===15:00桧枝岐温泉「駒の湯」15:55===16:00裁ちそば「まる家」17:00−18:15会津高原尾瀬口駅18:35===19:22鬼怒川温泉駅19:24===(特急きぬ140号)===21:35東武浅草駅