銀世界の山道と池塘巡り

志賀山 2,037m 2008111-2日  晴れ

 静かな高原歩きと池と湿原巡りをたっぷり楽しもうと、志賀高原に遊んだ。当日が近くなるにつれ、心配していた週間天気予報はグングン回復し、改めて皆さんの神通力に感心しつつ、高速バスで長野駅に向かった。駅頭には、宿泊予定のホテル・タキモトの社長がマイクロバスで待ち受けていて、早速、渋峠へ。途中、紅葉がとても素晴らしいスポット、渋沢栄一ゆかりの志賀山文庫に立ち寄るサービス付き。その一角は赤、黄の色が実に深い、まさに錦織り成す紅葉が今を盛りに色づいていた。後から考えてみると、渋峠が早くも銀色の世界に衣替えをしており、とてもとても紅葉散歩とはいかないので、それならば、素晴らしい紅葉を志賀山文庫でという、心遣いだったようだ。志賀山頂上

 とにかく渋峠近くまで行ってみようと蓮池から硯川へ抜け、横手山山頂ヒュッテに至るリフトのある渋峠へと向かったが、標高にして2,000mほどの、動く空の歩道、スカイレーターのある辺りで、小雨から雪に変わり、道は雪で覆われ、それ以上、峠道を上がったところでリフトは動いていないだろうし、車の行き来も困難となった。横手山の山頂からの眺望はもちろん、日本一高い所にあるパン屋さんでの昼食も断念し、ターンすることに決めた。しかし、時間はまだお昼ちょい過ぎ。少し下がった木戸池近くのレストランで腹ごしらえした後、木戸池からの2時間ほどの湿原、池巡りを楽しむことにする。旧志賀湖の湖底にあったという標高1,610m付近の田ノ原湿原の木道歩き、湿原には草紅葉、ハイキング道には黄葉したマツの落葉がふんわりと敷かれ、
空は先ほどの渋峠の降雪がうそのような真っ青な空。三角池、上の小池、長池と、空気の澄んだしっとりとした山道が池と池を縫うように走る。あちこちにあるクロベというヒノキ科の常緑高木も見事だ。赤褐色のツルツルとした樹皮を持ち、湾曲して伸びた樹幹が自然の造形美を見せていた。

 ハイキング後は、またマイクロバスに迎えにきてもらいホテル入り、早速、汗を流した。女性のお風呂には、何と百個以上もの色とりどりのバラの切り花が浴槽に浮かべられるという豪華なもてなしぶり。そんな素晴らしいもてなしを男性の風呂にもおすそ分けしたいと、さすが浪漫会の女性。男性用風呂に誰もいない時を見計らって、幾つかのバラの花を浮かべてくれた。

 待望の夕食は皆でお鍋を囲み、ワイワイガヤガヤ、笑いが絶えることがない。食前酒からビール、冷酒、燗のお酒と、話題もお酒も次から次へと、例のごとく。お鍋をおいしいおじやで締めくくって、さらに夕食後は大きな暖炉の部屋に移って、炉辺でウイスキーをゆっくりと味わった。ホテルの窓からは素晴らしい夕景、夜景が眺められ、満天の星も2,000m近いホテルならではのぜいたくだ。

 翌日はすっきりと晴れ上がり、四方の山並みはどれもかれも、青空をバックにくっきりと稜線を描いている。早めの朝食を取り、硯川の登山口まで送ってもらい、午前745分、いよいよ志賀山へ出発だ。スキー場のゲレンデを登るが、前夜来の寒さで雪は氷りつき、霜がバリバリと立ち上がっている。天気はいいが、足元は次第に雪が深くなったため、前山まで来たところで軽アイゼンをつけることにした。

 雪に覆われた木道に、さらに笹の葉っぱがおおいかぶさっていて歩きにくい。四十八池との分岐点を左に行くと急登の連続だ。雪が積もった岩の上を滑らないように注意深く足を運ぶ。木の根っこを隠している雪にも要注意だ。身体を引き上げ引き上げ、高みに出るが、雪は山道をずっと覆っている。幸い好天のため、雨具をつけたりする必要のないのがありがたい。登り始めて2時間余り。展望が開け、一見、頂上と見間違う五葉松のポイントに出る。ここから少し先に行ったところが本当の頂上だ(写真)。登山口から標高で400mほど。三等三角点のある頂上はそれほど広くはない。南東に見えるのは志賀山より300m高い横手山だ。目を北西に転じると白馬岳など北アルプスの山々が望め、さらにその向こうには後ろ立山の白い稜線がうっすらと見える。

 下山は四十八池巡りコースを取る。雪道を慎重に下り、志賀山と鉢山に囲まれた大小60余の池が点在する四十八池まで下り、木道歩きを楽しんだ後、あずまやで昼食だ。ここまで来ると池塘巡りだけを楽しもうとする多くのハイカーに出会う。記念撮影をして、予定より20分以上も早く硯川の登山口に戻る。

 立ち寄り湯は天然硫黄温泉の名湯、熊の湯のホテル。幕末の蘭学者、佐久間象山が発見したとも伝えられ、湧き出した温泉で熊も傷を癒したという。ヒノキつくりの湯船につかり天井を見上げると、これまた見事な高い梁が伝統と格式を感じさせる。黄緑色の硫黄の湯のせいか、身体はしばらくポッカポッカと温かい。

 路線バスを乗り継いで長野駅に出て、午後6時、高速バスで新宿へと向かった。連休の中日のためか、高速道路は渋滞で新宿到着は1時間40分遅れとなったが、晩秋の心地よい山行をたっぷり堪能した二日間だった。

志賀山文庫の紅葉をバックに 木戸池からの湿原を歩く 前山湿原に下山。青空が素晴らしい。

コース記録

1日(土)

新宿6:50==11:20長野駅11:25==志賀山文庫==のぞき==13:30木戸池(昼食)14:00

  高速バス(川中島/京王)    ホテル迎えバス  

⇒⇒田ノ原湿原⇒⇒三角池⇒⇒長池⇒⇒15:50蓮池==16:15テルタキモト(泊)

2日(日)                               1700m         

6:30ホテルで食事…ホテル7:20==7:40硯川登山口7:45⇒⇒8:10前山湿原8:15

                               2037m

⇒⇒8:40渋池⇒⇒志賀山登山口/四十八池との分岐点9:00⇒⇒10:00志賀山10:15 

1900m

⇒⇒11:15四十八池(昼食)11:45⇒⇒12:35前山湿原12:40⇒⇒12:50硯川バス停⇒⇒

13:00熊の湯ホテル13:55⇒⇒四季の宿一平荘15:00⇒⇒硯川バス停15:03==

長野電鉄路線バス

15:18蓮池15:41==16:51長野駅18:00==21:40新宿駅西口

急行バス                 高速バス(川中島/京王)


トップページに戻る