険しい岩場越え、クマザサの山頂へ

谷川岳/トマの耳1963m 2010年9月11日(土)

9月に入っても猛暑続きの日本列島。その列島の、日本海と太平洋の気候がせめぎ合う谷川岳に総勢18人で登った。一番優しい天神尾根から山頂を目指すルートだが、やはり百名山のひとつ、途中には峻嶮な岩場が数多く待ち受けていた。  

完璧な晴天の中、我々一行を乗せたバスは、午前10時過ぎに白毛門をバックに、天神平でロープウェイ駐車場に到着。すでに数多くの観光客がロープウェイやリフトを乗り継いで、谷川岳の眺望を楽しんでいた。白毛門(しらがもん)を望むロープウェイ駐車場の草地で準備体操を済ませた後、樹林帯の中を抜ける天神尾根をたどる=写真右=。突き刺さるような強烈な日差し。木陰に入るとほっとする。人気の山の、登り易いコースということもあり、整備された木道を行き交う登山者も多い。「魔の谷川岳」で知られた一の倉沢は、もっと北側に位置するが、時折、鋭く切れ落ちた崖をかいま見ることができる。

右からの田尻尾根の道とあわせ、さらにしばらく行くと、いわお新道の合流点近くの熊穴沢避難小屋の脇に出る。ここからは急坂、岩場が次から次へと出てくる。高度を稼ぐことは出来るものの、なかなかタフな岩場を越えていかなければならない。谷川岳といえば、一の倉沢の断崖に代表される急峻な岸壁と複雑な地形で知られるが、易しい天神尾根ルートでも、そうした片鱗をうかがえる。この急峻な山容と中央分水嶺のゆえの変化の激しい気候が、これまでに800人もの命を奪ってきた「魔の山」である。

谷川岳特有の、一変する気候を実証するように、さっきまで広がっていた紺碧の空の山頂付近に、みるみるガスがかかってきたかと思うと、風も強くなってきた。新潟県側は午後から雨という予報だったが、早くもその兆候が出てきた。ともあれ、ひたすら登ることにする。途中、休憩を入れるにちょうどいい天神ザンゲ岩と称する岩陰で呼吸を整え、さらに上がると、一面、目にあざやかなクマザサの稜線が広がる。波打つように山肌をびっしりとおおうさまは、感動的だ。クマザサの間の登山道を、がまんして登りつめると、ようやく山頂に至る手前の肩の小屋に出る。東から上がる巌剛新道、西黒尾根や西の仙ノ倉に至る尾根筋の合流点でもある。

肩の小屋周辺には、多くの登山者が風やガスをよけつつ昼食をとっていたが、我々も早急に腹ごしらえをすることにした。昼食後、これ以上ガスが広がらないうちに、山頂のトマの耳を目指す。ガスで視界が少し奪われているものの小屋から5分ちょっとでトマの耳に達した。狭い山頂はにぎわい、眺望はきかない。記念撮影を済ませて、早々に下ることにした。双耳峰の、もうひとつの山頂、オキの耳(1977m)は残念だが、見送ることにする。

肩の小屋から、同じルートを一気に下る。一面のクマザサを眺めつつ、岩場やザレ道を慎重に下る。登りで、体調が今ひとつで大事をとり、休憩をとっていた2人と、途中の岩場や熊穴沢避難小屋で合流し、全員、午後3時半過ぎにロープウェイ駅に戻った。

待ち受けるバスに乗車し、水上町の町営温泉「湯テルメ・谷川」で汗を流し、一息入れた。楽しく、にぎやかな18人を乗せたバスは、比較的順調に流れる高速に乗り、8時過ぎに帰京した(G

コース記録

清澄白河630==1010谷川岳ロープウェイ駐車場=(ロープウェイ)=1025天神平1035⇒⇒1115熊穴沢避難小屋⇒⇒1235天神ザンゲ岩⇒⇒1250肩の小屋1320⇒⇒1330山頂/トマの耳1340⇒⇒1350肩の小屋1410⇒⇒1505熊穴沢避難小屋⇒⇒1535天神平=(ロープウェイ)=谷川岳ロープウェイ駐車場=(バス)=1625湯テルメ・谷川1725==帰京


トップページに戻る