季節の花に彩られた高層湿原と雨の樹林帯歩き
田代山1917m 帝釈山2060m 2010年6月26日(土)〜27日(日)
梅雨が本格化する時期、雨を覚悟で南会津の田代山と帝釈山を訪れた。特に田代山は山頂一帯が大きな湿原となっていて、花の百名山に数えられる山だ。我々が訪れたこの日も、チングルマやコイワカガミ、ワタスゲなどが出迎えてくれた。また雨の帝釈山への主脈では、オサバクサの群落が登山道のあちこちに咲き誇り、忘れられない花の山旅となった。
都内から車に分乗して出発。初日はゆったり目の日程で、福島県会津地方の奇岩の渓谷、「塔のへつり」や江戸時代の宿場町の風情が残る「大内宿」に立ち寄った後、田代山の麓にある湯の花温泉の民宿「かじや」に前泊した。いつものように英気を養い、翌日の山行に備えた。残念ながら翌日は朝から雲が厚くたれこめ、雨具をつけて登山口に向かった。午前7時過ぎに歩き始めると、案の定、すぐに雨粒が木々の合間から落ちてきた。
雨具をつけての急登はきつい。黙々と上がる。幸い途中から晴れ間がのぞき、田代山頂に着くころには日差しも出て、空が明るくなった。広々とした高層湿原にはちょうど一周するように木道が走り、季節の花たちが我々を楽しませてくれる。ひとしきり花の写真を撮ったり、木道歩きの様子をカメラに納めたり、昨年秋の苗場山同様、気持ちのいい湿原歩きを堪能した。道標に従って、さらに木道を進むと帝釈山への道に入っていく。先ほどまで明るかった空が一転、また陰り始めたが、ここまで来たらと、全員で帝釈まで足を伸ばすことにする。
避難小屋でもある弘法大師堂の脇を木道に沿って進むと、樹林の中をジグザクと帝釈山への道が延びている。アップダウンがきつく、樹林の登山道も木の根が縦横無尽に張り出しているうえ、雨でぬかるんだ歩きにくい道だ。途中、途中、大きな水たまりができ、雨に打たれながら歩き続けた。
そんな中、ほどなくして我々の前に姿を現したのが、帝釈山の名物でもあるオサバクサの大群落だ=写真左=。オサバクサの葉っぱはシダのような形で、釣鐘形の白い花をうつむき加減にたくさんつけているのが特徴だ。最初は道端にぽつりぽつりと見えていたのが、やがて、こっちも、あっちにも、いやこの上にも下にも、という声が飛び交い、いつしか我々はオサバクサの大群落の真っただ中にいることに気付いた。歩きにくい雨の樹林帯歩きであったが、オサバクサの大群落が十分に慰めてくれた。
さらに雨の中を黙々とたっぷり1時間半。岩を登ったり降りたり、苦労しつつ、ようやく帝釈山の山頂に出た。降りやまない雨の中、記念撮影を早々に済ませて下山にかかった=写真上=。田代山の手前の避難小屋や湿原の入口で昼食を摂ったあと、一気に登山口まで降りた。(G)
コース記録
<1日目>
箱崎6:30==東北道・那須塩原IC==塔のへつり=大内宿==15:00過ぎ 湯の花温泉民宿「かじや」(泊)
<2日目>
民宿6:25==7:05田代山登山口⇒⇒7:15最後の水場⇒⇒8:00小田代⇒⇒9:00田代山湿原⇒⇒弘法大師堂⇒⇒9:25オサバクサ群生地⇒⇒11:00帝釈山⇒⇒12:15弘法大師堂(昼食)12:40⇒⇒13:20小田代⇒⇒14:00登山口