皆で登りきった、雪の矢倉岳
矢倉岳 870m 2010年2月13日
矢倉岳は足柄平野の西部、箱根の外輪山の北のはずれに位置する、ちょうどお椀を伏せたような山容。本来ならば、富士山を間近に見ることのできる展望の山でもある。
ところがこの日はあいにく、天気は今ひとつ、展望は期待薄だが、久しぶりのバスハイキングだ。6時30分。箱崎ICから首都高、東名と乗り継いだマイクロバスはスムーズに都内を走りぬけ、神奈川県に入った。
バス車内では、朝の挨拶がひと通り終わったところで、女性陣から男性陣にバレンタインデーの心温かいチョコレートのハプニング・プレゼント。やや誇張気味に描写すれば、一人ひとりチョコを渡されて、感激に声をつまらせる男性会員、ここ数年チョコなどもらったことがないと思える男性会員はおそらく山行の思い出は忘れてもチョコの思い出は引きずりそう、あるいは表面は平静を装い、これで何個目とこれ見よがしに指を折りながらも、実のところシートに隠れて嗚咽する男性会員など、車内は感激、感動の渦に包まれた。そうこうするうちに、専属ドライバー岡田さんが運転するマイクロバスは、東名高速の大井松田ICから下車して県道78号線に出た。さらに矢倉沢から右折して本村バス停手前の公民館でバスを降車する。
空は曇天。少し雪がぱらつく。スタート地点の公民館前では、もう霙(みぞれ)となる。1週間前から関東南部の天気を気にかけて毎日の天気予報に注意していたが、やはり、あいにくの天候だ。
歩き始めてまもなく。舗装道路が消え、雪も増えてきた所で休憩を取り、アイゼンをつけることにした。全員がそれぞれに装着を終えて、本格的雪山登山となった。雪の量は山頂に近付けば近付くほど多くなり、雪山そのもの。急登を登りつめている途中、代表の携帯電話が突然鳴り出す。バス会社から緊急電話が入った。何かと思うと、朝下車し、帰りの下山口の万葉バス停に待機してもらう手筈になっていたバスが、降雪のため足柄万葉公園までの坂道を上がることが出来ないとの連絡だ。
このため、臨機応変に判断。バスとの合流地点から我々はさらに歩くことを決め、矢倉岳山頂、万葉公園へと急ぐことにした。岡田ドライバーとの直接連絡は出来ないものの、バス会社に連絡をお願いし、とにかく予定通り上がることにした。
途中の新雪の上にウサギやキツネと見られる足跡が見つかった。そしてやっとの思いで、10時50分に山頂に到着。だれの踏み跡もない新雪20cmの上で記念撮影。案の定、富士山は見えず残念であったが、白黒の水墨画さながらの世界、雪のハイキングは素晴らしい思い出となった=写真上=。帰り道、雪のベンチで立ちながら簡単な昼食を済ませて、アイゼンのまま県道78号線を下山して10分ほどでバスに合流できた。チェーン装着のバスに乗り、13時10分に山北町健康福祉センター3階の「さくらの湯」に到着した。ここで疲れを癒して15時過ぎにバスで東京に向う。皆さんお疲れ様でした。(O)
山行記録
清澄白河6時30分――8時矢倉沢公民館着――8時25分出発――(雪深い)――10時50分山頂着――(雪の為富士見えず)――11時50分足柄万葉公園――12時雪上ベンチで昼食――12時20分バス乗車――13時10分さくらの湯―帰京へ